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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第43章 白いクマとクマの酷い人間


次の日、目が覚めた時、今までは聞こえなかった懐かしい音が聞こえた。

(波…)

寝ているベッドの近くには小さな窓があり日も差していた。私は吸い寄せられるようにベッドを降りふらつきながらも窓に近付いた。

(綺麗…)

朝日を浴びてキラキラと光る海面、ゆらゆらと波の往来に伴い変化する光の加減がとても綺麗だった。そして、ザーっと聞こえる波の音。時よりカモメだろうか…鳥の鳴き声もする。子窓の外には穏やかな海の日常が広がっていた。

近くにあった椅子に腰を下ろし小窓に頭を預け目を瞑った。久しぶりに感じる海に心が楽になった気がした。

──

穏やかな時間が過ぎどれくらいそうしていたのだろうか。私はガチャっと扉の開く音で目を開けた。

「おい、何故そんな所に居る?」

入って来たのはトラファルガー・ロー。予想通り来たかと私は思った。私がまた目を閉じ海の音に耳を傾けているとカツカツと音を鳴らし彼が近付いて来た。

「おい、聞こえてんのか?」

冷たい声に少しの苛立ちが含まれていた。

『…海の音…聞きたくて…』

昨日より出しやすくなった声のお陰で無理せず伝える事が出来た。

「……。」

だけど、彼から返事はなくて。やはり患者が自由に動き回ってはいけなかったんだと思い仕方なくベッドに戻ろうと小窓に傾けていた重心を戻そうとした時。

フワッ…

『…っ!?』

急に浮遊感を感じ目を開けると眼前に彼の顔があった。私の状況は所謂お姫様抱っこ状態。体勢もだが彼の顔が近すぎる。クマは酷いが精悍な顔立ちで所謂イケメンという部類に入る顔が真っ直ぐ私を見ていた。目のやり場と手のやり場に困った。

「おい、掴まらねぇと落とすぞ。腕回せ。」

『えっ…あぁ、すみません///』

クイっと顎で合図され、私は彼の首に腕を回した。密着度が上がり少しだけドキッとした。

そのままベッドに戻るかと思えば部屋を出て行こうとする彼。何処へ行くのか気になったが何も言わなかった。暫くして彼が1つの部屋の前で止まった。私を抱いたまま器用にドアを開けると中へ入っていった。

部屋には大きなベッドとソファと机があり壁面には沢山の本が収納されていた。個人の部屋のようだったのであまり見ないようにした。奥に連れて行かれガラスの扉の前で下ろされた。ベッドの方へ彼は行き何やらゴソゴソして戻って来た。
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