【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第42章 死の外科医
※ベポ視点
「体温、脈拍は良しっと!あとは…顔色はまぁまぁかな。」
オレはカルテに必要事項を記入し棚にしまうと椅子に腰を下ろした。
「ねぇ…君は何処から来たの?」
目の前のベッドで眠っている女の子?に向かって話しかけるのはオレのルーティンになっている。
目は何色かな?どんな声で話すの?閉じられた目と口を眺めながらオレは考える。でもきっと大きくてぱっちりした目に可愛い声なんだろうな。だってとっても整っているんだもん。この子の顔。オレは人間の女の子はよく分からないけど間違いないと思うんだ。
だけど、この子との出会いは不思議だらけ。無人島で宴を開いていたハートの海賊団の目の前にこの子は現れた。歩いてきたんじゃないよ?急に現れたんだ。まるで何処かから空間を飛び越え移動したみたいに。そして、現れたこの子は血だらけだった。肩や脚には被弾したような傷、胸から腹にかけては裂かれたような線状の傷が複数有った。何れの傷からも夥しい程の血が流れた事は明白だった。
オレやシャチなんて慌てるばっかりで何も出来なかったけど、キャプテンは違う。冷静に指示を出し早急にオペに取り掛かった。巷では"死の外科医"なんて物騒なネーミングで有名なキャプテンだけどこの子にとっては神様だと思う。外科医のキャプテンだから助ける事が出来た。
「…早く話がしてみたいな。」
命は取り留めたんだけどずっと眠り続けてる。キャプテンが言うには血を流し過ぎた事が原因みたい。
"やれる事はやった。あとはコイツの生きたいという気持ちの問題だ"
そうキャプテンは言ってたっけ。でもどうやったらあんな傷負うのかな。傷を見てキャプテンは何か気になる事があったみたいだけど、こんな女の子が血だらけになる程だ。怖かっただろうな。
「もう大丈夫だよ?だから早く目を覚ましてね。」
爪を立てないよう十分注意して白い華奢な手を握った。
ピクッ…
「えっ!?」
今動いた?驚いて顔を覗き込んだ。人形のように動かなかった女の子の顔に僅かに動きが見られた。
「わぁ!!」
出会ってから全く変化の無かった状況故に、嬉しくなってどうして良いか慌てるオレ。頼りないクマですいません…
「あ!…キャプテン!今キャプテン呼んでくるからね!」
部屋を飛び出しキャプテンの元へ急いだ。