【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第42章 死の外科医
──ポーラータング号
「キャプテーン!朝ご飯出来たよー!」
ベポは船長室の扉を開けて元気に叫んだ。
「……。」
「キャプテーン!起きてー!」
「…うるせェ、ベポ。」
船長室のスペースを大きく分けると3つ。ベッド、机、本棚。加えて浴室とトイレも完備の充実した部屋だ。
そのベッドの上で上半身裸の船長が仰向けで片手を額に乗せて目を閉じている。大方、いつものように明け方まで医学書を読み漁っていたのだろうとベポは結論づけた。
「オレはちゃんと起こしたからね!ちゃんと起きてね、キャプテン!」
そう言うとバタンと扉を閉め去っていった。
「…戻るなら朝飯が何か伝えてからにしろよ」
寝起きが悪い船長の恨み言はベポには届く事は無かった。
──
「ベポー、キャプテン起きた?」
「ん~…一応起こしたけど起きるかは分かんない!」
「まぁ朝弱いからな、キャプテンは。」
食堂ではベポ、ペンギン、シャチを始めハートの海賊団のクルーが揃って朝食を摂っていた。
船の食事としては珍しい和食が中心だ。白米と焼き魚とだし巻き卵、味噌汁。船長の好物で揃えた自信作だ。クルーはいつも船長の事を思っている。パンが嫌いな船長の為に和食が中心、パンの時は船長には別メニューで対応する。
「起きてこなかったらおにぎり作って持っていけばいっか〜」
呑気に話しながら白米を掻き込みシャチが思い出したように言う。
「今日、誰の担当だっけ?ペンギン?」
「いや、俺は昨日だった。今日はベポだろ?」
「あ!今日オレか!忘れてた~」
それぞれ船での役割分担がある3人だが、数ヶ月前から当番制で、ある仕事が増えた。特に難しい内容では無いが3人のテンションは少し下がった。
「…全然起きないね。」
「そうだな〜まぁ状態が状態だったしな…」
「キャプテンじゃなかったらとっくに死んでたな。」
食堂からは見えるはずも無いがオペ室がある方を見ながら溜息を吐いた。
「取り敢えずオレ、診てくるね!」
ベポは慌しく食器を流しに持って行き、オペ室に走って行った。
「今日は進展あると良いな。」
「そうだな。」
残された2人は願った。
「んー…取り敢えず俺はキャプテンのおにぎり準備するわ~」
そう言うシャチに、おぉ、とペンギンは答えると独りごちた。
「あの子…何者なんだろーね…」