【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第40章 感傷
震える声で見上げた顔は今にも泣きそうだった。
「アリス様…」
「どうして?何で?」
「……。」
「スティルハートさん何してたの?何でミスティさん助けてくれなかったの…!?」
「!!」
「アリス!!やめなさい!!」
夫人がアリスの発言に耐えかね叱責した。
「…スティルハートさんなんか大っ嫌い!!」
そう言うとアリスはパッと手を離し走って部屋を出て行った。
「アリス!!」
「僕に行かせて下さい。」
追いかけようとする夫人を止めレインはアリスの後を追った。
──
アリスを追って辿り着いたのはアリスの部屋。場所は以前と変わっていた。中からは咽び泣く声が聞こえる。レインは軽くノックをし部屋に入った。
「アリス様…」
ベッドの上で両手で両足を抱え泣くアリスが居た。ベッドに近寄り声を掛けるが返事は無い。
先程、拒絶されたレインはアリスと距離を置きベッドの端に背を向ける形で腰を下ろした。
「ロゼを…アイツを死なせたのは俺です。」
「!!」
レインはアリスが反応した事は分かったがそのまま振り向かず話を続けた。
「アイツは俺の為になるならと1人で今回の任務に就きました。必ず戻ると約束しましたがアイツは帰ってこなかった。色々事情があったのですが助けに行かなかったのは事実。アリス様の言うように俺は何も出来ずアイツを死なせた。」
「…ひっく…グス…」
「アリス様の目にどう映ったか分かりませんが、初めて此処に来た時、俺はアイツが嫌いでした。」
「え…?」
「ですが、アリス様に対するアイツの言動や身を呈して守る姿…信念みたいな物に対し印象はガラッと変わった。」
子供に何を話してるんだとレインは思ったが止まらなかった。
「次第にアイツ…ミスティに惹かれる自分が居て…すれ違いながらも漸くお互いの気持ちを確かめ合った矢先の事でした。」
そこまで話し俯いたレインにスっと横から何かが差し出された。見るとアリスが横に来ておりレインにハンカチを差し出していた。レインはそこで初めて自分が泣いている事に気が付いた。ミスティの事で今まで泣く事が無かった自分が涙するなど考えもしなかった。
「さっきはごめんなさい…私、酷い事言っちゃった。」
「…俺もミスティを死なせたのは自分だと思ってます。アリス様は間違っていませんよ。」