【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第40章 感傷
レインはある場所へ向かっていた。これからの事を考えると気が重くなるが自分の口から伝えておこうと決めた。暫くして目の前に立派な屋敷が見えた。
──
「やぁ!いらっしゃい。スティルハートさん。」
「ご無沙汰しております。急な連絡にも関わらず時間を頂き有難うございます。」
「いいんですよ?何時でもいらして下さいと言ったのは此方ですよ。」
夫妻はレインを歓迎した。
「今日はお一人ですかな?」
「…はい。」
「まぁ、上がって下さい。此方でお茶…」
「わぁーい!スティルハートさん!!」
夫妻を遮り元気な声が響いた。
「アリス様…」
レインは走って飛び付いてきたアリスを抱き上げた。
「これアリス!お行儀が悪いわよ!」
「すみません…スティルハートさん。」
「あ、いぇ…」
夫妻はアリスの非礼を謝罪してきたが当の本人はニコニコしながらレインを見て言った。
「今日はどうしたの?お仕事?」
「…今日は皆様にお話があって参りました。」
「そうなんだ…ミスティさんは居ないんだね。」
残念そうにするアリスを床に下ろし夫妻に案内され広間に向かった。
──
世話人がお茶を入れ下がったのを見計らい主がレインに声を掛けた。
「それで、今日はどうされたんですか?」
「……。」
レインは客である自分の隣に座って此方を嬉しそうにニコニコしながら見つめてくるアリスを見て言葉に詰まった。
「…スティルハートさん?」
アリスを見て表情が曇ったレインに主が再度声を掛ける。夫人は何やら察したようでアリスにピアノの練習をするよう言ったがレインはそれを止めた。
「失礼しました。アリス様にも居て頂きたい。」
(彼女ももう11歳…大丈夫だ。)
「ロゼが任務中に亡くなりました。」
「えっ?」
「そんな…」
夫妻は当然驚き動きが止まった。
ギュッ…
「…?」
レインの腕を掴む小さな手があった。
「アリス様…」
横を見ると下を向いたままレインの腕を掴むアリス。表情は見えない。
「詳細はお伝え出来かねますが、生前良くして頂きました皆様には僕の口から伝えておこうと思い参りました。」
「そんな…お世話になったのは此方ですよ!…何と言っていいか。」
「…何で?」
腕を掴む小さな手に力が入った。
「何で?ミスティさん死んじゃったの?」