【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第39章 戦争のアト
──海軍本部医療棟
「……っ」
「漸くお目覚めかい?」
「…こ…こは?」
「海軍本部医療棟の特別室だよ。感謝しな。他の者達と一緒の場所だとお前みたいな男は目立ってしまうからね。」
「すみません…」
力なく答える男につるは問う。
「職務を忘れ己の感情のままに力を奮うとは…呆れたもんだね。何があったんだい?レイン」
「……。」
「まぁ、言いたくないなら答えなくて良い。お前は海兵じゃないからね。だが、世界政府のCPが七武海に手を出したとなるとお咎めなしじゃ済まないよ?それは覚悟しときな。」
「…はい。」
つるはそう言うと部屋を出て行った。残されたレインは自分の状態を確認しようと身を起こそうとしたが身体中に激痛が走り断念した。
今まで危険な任務は沢山こなしてきたが、ここまでの怪我を負う事は無かった。冷静沈着。レインのスタンスはいつもそうだ。窮地になればなる程、冷静な判断が局面を左右する。
だが、今回はどうだ。戦争への加担ではなく七武海の監視と牽制だったにも関わらず我を忘れ制御出来なかった。理由は明白。
「…ミスティ」
レインは愛する女の名をポツリと呟いた。必ず戻ると約束し数ヶ月前に任務に就いたその女はレインの元へ帰ってくる事は無かった。そして、頂上戦争でドフラミンゴから告げられた残酷な事実に怒りが抑えられなかった。
「くっ…そ」
ドフラミンゴと殺り合った所で失ったモノが戻ることはない。だが、諜報部員として使命と誇りを持って…そして愛するレインの為に任務に就いたミスティの事を侮辱され我慢出来なかったレイン。
叶うことなら今すぐにでもドフラミンゴを追い掛け殺してやりたかった。
だが、怪我により回らない頭と動かない身体はどうする事も出来ないと無力さを感じずには居られなかった。
──コンコン
「…レン兄ぃ??」
扉を叩く音に続き遠慮がちな声がした。
「あ゛〰️レン兄ぃ!!良かった〰️〰️生きてる〰️〰️」
顔を出したのはレインの部下であるコリンだった。コリンはレインの元に駆け寄ると縋りながらわんわん泣き始めた。
「死んじゃったかと思って心配したよ〰️〰️」
縁起の悪い事を言いながら泣き喚く部下にギョッとするレインだったが心配をかけてしまった事には心が傷んだ。
「悪い…心配…かけたな。」