【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第37章 戦争の始まり
コンコン──
「CP8スティルハート氏をお連れ致しました。」
「通せ。」
一人のCPが海兵に先導され海軍本部の中枢へ連れて来られた。そこではこれから始まる火拳のエースの公開処刑と避けられない白ひげと海軍本部との全面戦争についての会議が行われていた。
「CP8所属スティルハート・レインです。」
「ほぉ…此奴が。」
「中々の色男だね~」
「……。」
「お前の活躍はクザンから聞いている。エニエス・ロビーの一件で世界政府の主力でもあるCP9が使えない今、貴重な戦力だ。宜しく頼む。」
海軍本部上層部が集まるこの場での元帥の言葉は直々に言い渡された任務と言える。
「畏まりました。」
敬礼の代わりに静かに伝えられた了承の意と共に会議は解散となった。
──
男は窓から海を見ていた。数ヶ月前に此処へ来た時と見える景色は同じ筈なのに別物に見えた。これから起こる戦争で流れる血と失われる命がそうさせるのか、それとも失ったモノがそう思わせるのか男には分からなかった。
「レイン。」
名を呼ばれ男が振り返れば大参謀が居た。
「…おつるさん」
「悪かったね。急に召集して。」
「いえ。ロブ・ルッチ率いるCP9の穴埋めになるかは分かりませんが。」
(CP9…)
エニエス・ロビーの一件で消息不明とされているCP9。バスターコールに巻き込まれたと聞いているが生きているなら力を借りたいと思える部隊なだけに残念だ。
「万全を期す布陣だ。レインは七武海の近くに控えておくれ。7人の内6人が確定しているが曲者揃いの彼奴等が素直に作戦に従うとは思えない。何かあれば抑え込める者が必要だからね。」
「分かりました。」
「ドフラミンゴも来ている。」
「!」
「反旗を翻すことは無いが彼奴は読めん。作戦遂行の妨害以外の行動は制裁しなくて良いよ。」
「…善処します。」
先程と違う言い方につるは気付いたが触れなかった。
「宜しく頼むよ。レイン。」
「はい。」
遠ざかる背を見ているとクザンが声を掛けてきた。
「おつるさん、どう?アイツ…」
「どうって?腑抜けになってる事かい?そうさせたのは私達だろ?」
「…まぁね。」
「レインだって自分の立場は分かってるさ。今自分が何をしなければいけないのか。仕事はきっちりするだろ。アンタも早く配置につきな!」
「へーい」