【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第37章 戦争の始まり
プルプルプル…
執務室に鳴り響いた電伝虫。
「はい…」
男は受話器を取り簡素な返事をした。
「よぉ。元気か?」
「…何か?」
質問には答えず対応した男に対し、アイマスクをした電伝虫は少しの沈黙の後、再び声を伝えてきた。
「火拳のエースの公開処刑日が確定した。白ひげは必ず動く。戦力が足りねェ。お前も来い。」
「……。」
「おい、聞いてるか?」
「分かりました。」
男の強さを認めているからこその召集命令だが、男の声に張りがなく以前のような正義感や使命感は感じられない。
「お前、大丈夫か?」
「何がです?」
「…いや、いい。取り敢えず今日にでも発て。いいな?」
「分かりました。では。」
ガチャッ…
必要最低限の会話を終え、男はいつもの仕事着に身を包み準備を整えると部屋を出た。
──
「やっぱり呼ばない方が良かったかなァ…」
「どうされました?」
上司のボヤキに一人の海兵が反応した。
「ん?…あぁ、戦力はあるにこしたことはないと思って信頼出来る奴を呼んだんだけどねェ…」
「けど?…どうされたんですか?」
「…ちょっとまだ早かったかなァと。大事なモンを任務で亡くしたばっかりだからねェ。」
「そうですか…でもそういう方なら尚更今回の件は力を発揮されるのでは?海軍と海賊の戦いですし。」
海兵はそう言うと忙しなく部屋を出て行った。
「…それは殺ったのが海賊の場合だ。」
1人になった男は自分に言い聞かせるよう呟いた。
「今回はアイツの嫌う類いの正義だからなァ…」
男は数日後の此処マリンフォードを想像し大きく息を吐き珍しく自ら会議へ参加すべく部屋を出た。
──
「センゴク元帥!!一大事であります!!」
海軍本部トップの元帥の元には先程から急ぎの報告をすべく海兵達が押し掛けていた。その中でも、センゴクが待ちわびた報告が漸くきた。
「"白ひげ"に動きが!!」
「きたか…監視船の報告だな!?ここへ繋げ。直接聞こう。」
「いえ…それが白ひげの本船モビー・ディック号の動きを監視していた海軍船全23隻…!!つい先程一斉に通信が途絶えました……!!」
「!!?…何だと!?」
その報告は全容の見えない敵を迎え撃たねばならない事を意味する。その場に居た者に恐怖を与えるには十分だった。