【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第33章 あの日に戻れるなら
ドラゴンさんから聞かされた事実。セレナが世界政府へ潜入し任務中に死んだという事。今までニコ・ロビンが世界政府に捕まらなかったのがセレナの功績ならセレナの生死はほぼ決まりだ。
「ちょっと待て…」
ある事に気付いた俺は急いで自分の部屋に行き積み上げてある資料を漁った。
「どこだ?…どこいった!?」
資料の山が崩れるのもお構い無しで俺はある資料を探した。半年前位に部下から渡された資料だ。もう解決済だということもあり気にしていなかった。
「…あった!」
下の方にあったその目的の紙を見つけ引っ張り出した。上流貴族の家に海賊が令嬢の命を狙い押し入った事件。海賊ブルイヤール・ネーベルは俺達革命軍も追っていた。武器密輸である大物海賊との繋がりを調べていたのだ。そのネーベルが令嬢の護衛に就いていたCPの女に仕留められたと聞いた時は驚いた。だが、その時にその女CPは相討ちとなり死んだとされた。この時、俺は大物海賊への手掛かりとなるネーベルが死んだ事で詰んだ事に肩を落としそれ以外の事には気にも留めなかった。
そして、さらにその女CPが実は生きており俺が任務で寄った島に居たという部下からの報告。別に生きていたとしてもたかがCPだからとこの時も気にしなかった。だが、記載の特徴や時系列を考えるとこれはセレナだ。
「何で見逃しちまったんだ!気付く機会は幾度となくあったのに!」
ニコ・ロビンへの情報操作だけで済む訳が無い。潜入となれば政府としての任務がある。セレナはそれもこなしながら革命軍の任務を遂行したというのか?
「くそっ…」
やるせない気持ちを近くの物にぶつけながら何処へ行くでもなく歩いていた俺は気付くと1つの部屋の前に来ていた。何となく足が向いた場所が此処とは…
キィィ…
暫く誰も開けていないせいだろうか。扉を開けると軋んだ音がした。初めて入るセレナの部屋。普段から諜報部員として任務に就いていたアイツの部屋は不要な物はなく綺麗に整頓されていた。
主の帰りを待つ机やベッドには薄ら埃が溜まっておりアイツが居なくなってからの時間を感じさせた。
カーテンを開け窓を開けると太陽の光と潮の匂いがする風が暗かった部屋に色を齎した。