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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第33章 あの日に戻れるなら


「セレナ…なんですね?」

俺は震える声で聞いた。

「そうだ。」

「っ!!」

「世界政府へCPとして潜入が出来るのは後にも先にもセレナだけだ。セレナも納得した上での任務だった。」

「俺に…ならどうして俺に知らせてくれなかったんですか!?」

「セレナから頼まれた。参謀総長には知らせるな、と。」

頼まれたって…そんな大事な事。知っていたらこうなる前に何かしら出来ていたかもしれねぇのに。

「お前が反対する事はセレナも分かっていた。それにお前が知れば自分に何かあった時にお前が責任を感じてしまうことを懸念したのだろう。そんなものは私だけで十分だ。セレナを失った事は悲しい…だが俺達は止まれない。進まねばならぬ。」

「ですがっ!!」

「サボ…なら聞くがお前にとってセレナは何なのだ?」

そんなの決まってる。

「仲間です!セレナは俺の大切な仲間です!」

「…そうか。なら仲間としてセレナの気持ちを汲んでやれ。」

「そんな…」

「話は以上だ。」

ドラゴンさんは一方的に話を終わらせた為、俺は部屋から出るしかなかった。

──

「仲間か…」

ドラゴンは先程のサボの答えを反芻しセレナの言葉を思い出していた。


── 私はこの任務で死ぬかもしれません。世界政府へ一度潜入すれば革命軍へは戻れません。退路はない。…私の遺言だと思い了承頂けませんか?

── ロゼ・ミスティとしての願いでも、ですか?


幼くして革命軍の兵士になる事を決めたあの日、セレナは本当の名前と愛する少年との思い出を封印した。その日を境に彼女から笑顔は消えた。そして他の兵士とは交流せずサボと距離を置き孤独を貫いた。

もし、サボが先程ドラゴンがした質問にセレナへの、いやミスティへのサボの特別な思いが感じられる答えであればサボの失った記憶の事を話そうかとも思った。


── 家を捨てた私にとって皆様は家族でありドラゴンさんは父だと思っています。

── 私は任務遂行に全力を尽くします。それが私に出来る唯一の孝行です。


「セレナ…私はお前に何がしてやれたのだろうか?」

危険を承知で敵地に送り込み挙句死なせたのだ。彼女の任務遂行によりニコ・ロビンは今まで命を繋いできたが、その犠牲となった彼女はどんな思いだったのだろうか。

普段感情を殆ど表さない男は誰も居ない部屋で1人涙を流した。
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