【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第29章 海賊が治める国
翌日、ミスティが約束の時間にコロシアムに向かうとあの兵隊が待っていた。
『お待たせしてすみませんっ!』
「やぁ、お嬢さん。御機嫌よう!」
『今日は宜しくお願いします!』
ミスティはペコっも頭を下げた。
「オモチャに頭を下げる人間が居るとは…」
『えっ?』
「いや、此処ではなんだ。歩きながら話そう。」
兵隊はそう言うとからくり仕掛けなのか地面を滑るように歩き出した。
──
「…と、まぁこの国の歴史はこんなもんだ。」
兵隊はミスティにドレスローザの歴史を話した。
『なるほど…それでドフラミンゴが英雄の様に崇められているのね。』
事前に調べた事だったがそれ以上の情報を得る為、納得した素振りをしミスティは1番気になる事を聞いた。
『貴方達オモチャはどうやって生まれたの?』
「!!」
兵隊はオモチャだ。顔の表情等は変わらない。だが、明らかにミスティの質問に動揺したように見えた。
『人間のように人格を持つオモチャなんて不思議だわ。』
「それは…」
兵隊が何かを言おうとしたその時。
「キャー!誰かー!」
「オモチャが壊れた!"人間病"だ!」
「ち、違う!聞いてくれっ!俺だ!思い出してくれ…!」
悲鳴と聞き慣れない"人間病"という言葉が聞こえた。
『人間病…?』
「……。」
兵隊を見ると声のする方を無言で見つめていた。
「嫌っ!触らないで!早く連れ行って!」
「やめろっ!離せ!」
警官にオモチャが連れて行かれる様子を周囲の人々はまたかと言うような目で見ていた。
「俺は人間だーっ!!」
最後にオモチャが発した言葉が何故かミスティにはしっくり来た。
「お嬢さん、君は信じてくれるだろうか?」
兵隊がポツリポツリ話し始めた。
「この国には"忘れられた者達"と"忘れた者達"が居る。」
ミスティは行方不明の海兵達の事が頭を過ぎった。
『それ、どういうこと?』
「…我々オモチャは元々人間だった。8年前にドフラミンゴが連れて来た1人の能力者の手によって我々はオモチャの姿に変えられてしまったんだ。」
『そんな!じゃあ貴方も元々は人間?』
「そうだ。お嬢さん…君は何故この国へ来た?君には何かを感じるんだ。もし、良ければ力を貸してくれないだろうか?」