【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第29章 海賊が治める国
『兵隊さん…貴方、喋り過ぎじゃない?』
ミスティは冷たく言った。
『そんな大事な事、余所者の私に話すなんて…私がどんな人間か分からないのに。』
兵隊の言う事が真実なら国を揺るがす事態になる。そしてその相手がドンキホーテ・ドフラミンゴであれば下手すれば一瞬で消されて終わりなのだ。そんな大事な事を出会ったばかりの自分に伝え力を貸して欲しいと乞う等、諜報部員であるミスティには考えられない。
「…君は綺麗な目をしている。」
『はっ?』
「私が知っている女性と同じ目をしている。彼女は優しく芯の強い女性だった。それが理由ではダメか?」
それだけだというのか…そんなものあてにならないとミスティは思った。
『たったそれだけの事?貴方バカなの?目なんてどうにでもなるじゃない!』
「…私は人を見る目はある方だと自負している。人間だった頃、私自身はクソみたいな人間だったが周りの人間には恵まれていた。私がこの国の為に今しようとしている事など君には理解出来ないだろう。だが、無謀とも思えるその行為をするだけの恩がある…自分を変えてくれたあの方の為、愛する者達の為にそうしなければならない。」
ミスティは何も言わず兵隊の言葉を聞いていた。兵隊の話の中で所々過去形があった。おそらく同じ目をしていたという女性はもう居ないのだろう。
「コリーダコロシアムを見つめる君を見た時、運命だと思った。君は必ず力を貸してくれると確信した。」
その真剣な物言いにミスティは兵隊の顔の向こうに人間だった頃の彼の顔を見た気がした。
(私を信じるって言うの?でもどちらにせよ情報は得られる。少しの間、行動を共にしてみよう…)
『…買い被り過ぎよ。でも、いいわ。私も探している人達がいるの。十中八九この国の闇にのまれたようだから同じ目的のようだし貴方に協力するわ。』
「そうか!有難う!宜しく頼む!」
『えぇ、此方こそ!』
こうして海賊の治める国での任務にオモチャの兵隊が助っ人として加わった。この兵隊との関わりが今後の流れを大きく変えることになるとはこの時ミスティは思いもしなかった。
──レイン、もう少し待ってて。必ず有益な情報を貴方の元へ届けるから。