【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第29章 海賊が治める国
「だがそれまで少し猶予がある。その間に、我々海軍に協力して欲しい。」
青雉はふぅと息を吐き続けた。
「以前、此処に来た時に話をした内容は覚えているか?」
『以前…』
「アリス嬢を狙った黒幕"あの御方"についてと言えば分かるかな?」
『!?』
ミスティは鈍った記憶が泉のように次々と湧いてきた。あの時はレインも青雉も詳細についてはミスティには教えなかった。時期ではないと。
「俺達海軍は目星を付け何人も調査に行かせた。そこに居るレインのCP8の人間も何人か向かわせた。」
「……。」
ミスティがレインの方を見ると辛そうな彼が目に入った。
『…それでどうなったんですか?』
「全員行方不明。」
『そんな…』
「と言うよりは全員と思っている数よりもっと多い海兵やCPが行方知れず、という方が正しいかな。」
ミスティには青雉の言っている意味が分からなかった。ミスティの様子にレインが補足をした。
「記憶が無いんだ。任務に就かせたメンバーを思い出すことが出来ない。理由は俺達にも分からない。死んだのか捕まったのか…リストがある事で辛うじてこの状況が確認出来た。もしリストが無ければ任務に就いたメンバーは勿論任務内容も忘れたままだったかもしれない。」
「この状況から並の海兵やCPでは無理だと俺とレインは判断した。レインは自分が行くと言って聞かなかったが、レインは目立つし生憎向こうに顔がわれている。」
『…それで私を?』
青雉は本日何度目かの溜息を吐いた。
「理解が早くて助かるよ。諜報活動のスキルが高い君ならやれると思っている。ただ、無理はするな。相手が相手だ。取れる情報だけ持ち帰ってくれないか?」
海軍大将にしては弱腰な発言だとミスティは思い先程から気になっている事を尋ねた。
『分かりました。潜入先はどちらですか?』
「ドレスローザだよ…王下七武海の1人ドンキホーテ・ドフラミンゴが治める国だ。」
『ドンキホーテ・ドフラミンゴ!?』
ミスティはその名を聞きアリス達の事で点だった要素が線で繋がった気がした。
「驚くのは当然だよねぇ。君達が所属する世界政府が認めた王下七武海の1人を探るんだからな。だが、もう君しか居ない。俺達海軍…いや、レインの為に引き受けてくれ。」
ミスティは何も言えなかった。