【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第29章 海賊が治める国
『先ずは何処から調べようかしら?』
任務の猶予期間は半年を目処にと言われていた為、一旦ホテルの部屋をとり、状況を見て国の何処かに拠点を置こうと考えていた。
『てか広っ!』
ミスティは地図を見て唸った。それもその筈。国土は直径数十kmに及び一度に島の横全体を見渡す事は出来ない程広い。
『よし!先ずは地形を自分の目で確認しよう!』
ミスティは潜入調査の基本である相手のテリトリーを確認する事を最初の課題と決め部屋を後にした。
──
ドレスローザの港町であるアカシアを始め、セビオ、カルタ、プリムラ等の街を数日かけて確認したミスティは、現在、コリーダコロシアムと呼ばれる闘技場を外から観察していた。
『立派な闘技場ね…』
街で聞くにこの闘技場では名前の通り剣闘士による剣闘会が行われるようで人気を博した催しのようだ。
(此処は怪しいけど個別に調べるのは難儀ね…時間がない。)
ドレスローザには幾つも街があり施設も多い。コリーダコロシアムの他に何かの工場と思われる場所があった。ミスティはそこが怪しいと思い調査に入る事を決めていた。コロシアムには次の剣闘会の時に観客として探る程度にしておこうと思った。取り敢えず、一旦ホテルに戻り今後の見通しを立てようとコロシアムを後にしようとした時、声がした。
?「そこのお嬢さん、何かお困りかな?」
『えっ?』
ミスティは辺りを見渡すも声の主と思われる人物が見当たらない。
『…気の所為?』
?「お嬢さん、此処だよ。下!」
ミスティが目線を下に下げるこの国特有のオモチャが居た。
『オモチャの兵隊…さん?』
片足を失ったブリキのオモチャの兵隊が答えた。
「あぁ、そうだ!何かお困りかな?」
『いぇ、とても広い国で驚いています。来るのが初めてなもので…』
たかがオモチャだがミスティは何かを感じた。長年諜報活動をしてきた経験で培われたセンスがこのオモチャは何か知っていると反応した。その為、自身の状況を差し支えない程度に伝えた。
「そうなのか!よし、私が色々この国について知っている事を話そう!」
(よし!キタっ!)
『有難うございます!助かります!』
「だが、今日はオモチャの家に帰る時間だ。明日またここで会おう!」
そう約束し2人は別れた。
(…オモチャの家?)