【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第29章 海賊が治める国
──4ヶ月前
『…信じられない。』
ミスティは目の前の光景と音に自身の視覚と聴覚を疑った。
『オモチャが…喋って動いている。』
ミスティが驚くのも当然のこと。この国を訪れる者は【花の香り】【料理の香り】【島の女性の踊り】【まるで生きているように生活するオモチャ】に心を奪われると言われている。中でもオモチャが普通に人間のような人格を持ち人間達に溶け込んで生活している事がこの国の最もな特徴だと言える。
(政府や海軍の保管資料を片っ端から調べたけどオモチャの記載が出てきたのは8年前ぐらいからよ…)
ミスティは此処へ来るまでにあらゆる文献や資料を漁った。かつてのリク王朝時代は平和な国で名をはせた国であり、近隣諸国の花ノ国やプロデンス王国とも良好な関係を築いていた。しかし、8年前にリク王が退く形となってからは国家間の戦争が絶えることがなく戦争被害も甚大でその頃から突如オモチャの記載が目立つようになった。
(妖精やオモチャの国、なんてファンシーな聞こえで良いかもしれないけど…絶対何かある。だってリク王に変わり今この国を治めているのは…)
「あ、国王様だ!」
「本当!今日は王宮から様子を見に来られてるのね!」
「国王様のお陰で今の生活があるんだから感謝しないとね。」
ミスティは建物の隙間に身を寄せ様子を伺った。国民から慕われている国王。今の生活があるのは国王のお陰だと言う国民。
『そんな事あるものか…!』
ミスティの呟きには静かなる怒りが滲み出ていた。建物の隙間から国王の姿を確認したミスティはその特徴あるピンクの羽のコートを纏う男を睨み付けた。
偉大なる航路、新世界に位置するこの国家を治めるのは現役の海賊。その海賊が率いる海賊団はファミリーと呼ばれ非常に強い権力を持つ。警官でさえ迂闊に手を出せない。それもそのはず、その海賊こそ世界に名を轟かせる王下七武海の1人ドンキホーテ・ドフラミンゴなのだ。
『待っていろ、ドフラミンゴ。必ずお前の悪事を暴いてやる。』
ミスティの人生においてかつてない程の難しく危険な任務が始まろうとしていた。
ここ"愛と情熱とオモチャの国"ドレスローザで──