【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第28章 大参謀つる
※レイン視点
迎えの船を待つ間、俺は気になっている事をミスティに聞いた。
「ミスティ、お前、本当にやるのか?」
『えっ?』
「あの人に頼まれた事…」
俺がそう口にするとミスティは当然のように答えた。
『えぇ、やりますよ。断る理由も無いですし。』
「なっ!?」
『大丈夫ですよ!数ヶ月の事ですし。』
嘘だ。恋人と言えどもまだ俺の知らない事など沢山あるだろう。だが、任務やプライベートで同じ時間を共有する事で言動やちょっとした仕草でミスティの考えている事が少しずつ分かるようになった。そしてその経験から俺の中のレーダーはミスティは嘘をついていると言っている。
「お前…怖くないのか?」
『怖いって…単独任務だからですか?それなら私は慣れています。白兵戦もある程度やれますから。』
「相手はあの…」
『大丈夫です!深追いはしません。待ってて下さい!必ず貴方に必要な情報を届けますから!』
俺の心配を遮り明るく言うミスティに顔を顰めた。俺の為に危険な事はして欲しくないと言いたい。だが言ったところでどちらにせよミスティは任務に就く。それを見越してあの人はミスティに頼んだのだ。海軍は餌にも人質にもなる俺という存在を利用し100%任務を成功させる為の"駒"を手に入れた。
──グイッ
『ちょっ…レイン!?』
「悪い…」
俺はミスティを自分の方へ引き寄せ力いっぱい抱き締めた。
『……。』
「俺の為だろ?そう言われたから無理してやるんだろ?」
自意識過剰と思われてもおかしくない。だが聞かずにはいられなかった。
『そうですね。貴方の為だから、ですね。』
「っ!」
『だって私は組織の諜報部員ですよ?私の仕事は自分の為にするものじゃない。必要としてくれる誰かの為にする仕事です。その誰かの為に必要な情報を探る仕事です。それが貴方なら尚更です。大切なレインの力になれるのならどんな相手でも私はやります。』
「…ミスティ。」
『カッコつけ過ぎました?』
てへっと舌を出すミスティが愛しいと思った。
「お前…男前過ぎんだろ。そんな台詞は俺に言わせろ。」
『ふふっ。すみません。』
笑いながら謝るミスティを至近距離で見つめ顔を近付けた。唇が触れそうな所でミスティの指が俺の唇に触れた。