【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第28章 大参謀つる
──コンコン
「おや、お迎えだね。」
『えっ?』
「お入り。」
──ガチャ
「失礼します。」
「レイン、遅かったね。」
「そちらの大将が中々解放してくれなかったもので。」
「おいおい、そりゃないだろ~」
レインとクザンがつるの部屋に入って来た。
「おつるさん、ミスティちゃんと何話してたの~?」
「無粋なこと聞くんじゃないよ。女同士の話なんだから。」
へいへい、と答えるクザンを見てやはりつるは只者ではないとミスティは思った。
「レイン、アンタ達どうやって帰るんだい?そのまま任務かい?」
「迎えが来ます。任務は準備も要りますしそもそも海軍の船では無理なので。」
「そうかい。まぁ、気をつけな。」
「えぇ。分かっています。」
そう言うとレインはミスティに視線を送った。
「行くぞ。」
ミスティは立ち上がりつるに頭を下げた。
「レインと上手くやりな。」
『はい。』
小声のつるに合わせ答えたミスティはレインの元へ駆け寄った。
「レイン。」
出てい行こうとするレインをつるは呼び止めた。
「ミスティの事、頼んだよ。」
ミスティは驚いた。つるとは今日初めて会ったのに、と目を丸くして固まるミスティを他所にレインはミスティの腰に手を回し自分の方へ引き寄せ言った。
「言われなくてもそのつもりです。」
ヒュ~とクザンが口笛を吹き茶化したが、つるはレインの目に固い決意のような強い意志を感じた。
2人が出て行き閉められた扉を見つめつるは言った。
「見せつけてくれるね。あの子も一丁前な事を言うようになったもんだ。」
「でしょ~ミスティちゃんのお陰だよな~」
「で?本題に入ったらどうだい?」
つるにそう言われると笑顔が消えたクザンはフゥと溜息を吐いた。
「おつるさん、あの娘どう思う?」
「黒だよ。あの娘は。」
「…そっか。」
悲しそうな顔をしたクザンにつるは言った。
「ただあの娘はやるよ。今回の事もやり切るだろうよ。それがレインの為になるなら尚更ね。」
「なんで分かるんだい?」
「分かるよ。同じ女だからね。」
「…2人見送ってくるよ。」
そう言い部屋を出ていったクザン。1人になったつるは椅子に腰掛け海を見つめ呟いた。
──不条理な世の中だよ、全く。