【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第26章 恋人との休暇
サー…
温かいシャワーを浴びながらミスティはバスルームの大きな鏡に映る自分を見つめた。
『これ、私?』
鏡に映る自分は今までより表情が柔らかいとミスティには思えた。人を好きになり人からも好かれる。愛し愛される…そんな事、とうの昔に諦めた事だった。あの日、サボを失ったあの時から誰も好きにならないと…
『またこんな気持ちになるなんて…』
自分は今、唯の女として此処に居る。革命軍でもなく世界政府でもなく1人の女として。そして自分を好きだと言ってくれる人が隣に居る。
キュッ
『悪くない。』
コックを閉め自分に言い聞かせるように呟くとミスティはバスルームを後にした。
──
『話、終わったのかしら?』
先程のレインへ来た連絡の状況が分からないミスティは出るに出られずパウダールームで時間を潰していた。
優秀なCP程多忙になるのはこの仕事なら仕方ないと理解しているミスティは大方仕事の連絡だろうと思い寂しくなった。
やる事も尽きた為、音を立てず部屋に戻るとレインはソファに座っていた。何やら考え事をしているようでミスティには気づいていないようだった。ミスティはソファを挟んで後ろからレインの首に腕を回した。
「…無駄に気配を消すな。」
『考え事?』
「あぁ、ちょっとな。」
『そう、ですか…』
ミスティは任務の時の癖で敬語とタメ語が混ざってしまい発言がぎこちない。そんなミスティがレインは気になった。
「ミスティ?どうした?」
『仕事、ですよね?』
「あぁ。悪い…」
『あ、いぇ。もう向かわれますか?』
「いや、明日向かう。朝一で迎えの船が来る。」
『明日…今日は?』
ミスティの問い掛けにレインは顔だけミスティの方に向けチュッとリップ音を立てキスをして答えた。
「お前と居る。だから明日にした。」
『え?』
「俺がお前と居たいと思ったから明日にさせた。」
ミスティはレインの言葉にキュンとした。心が温かくなった。
「ほら。」
心中悶えていたミスティは、ん?とレインを見ると片腕を上げ視線で隣を促していた。
『っ/////』
「ミスティ?」
ミスティはレインに促される通りレインの隣に収まり束の間の幸せに身を任せた。