【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第24章 黒と白
昼間に助けた少年カイからホテルの内線で連絡を貰った。用が出来たと言われたが検討がつかない。そうこうしているうちに部屋の呼鈴が鳴った。
扉を開けるとカイが立っていたが用があるのはカイではなかった。扉がガバッと開いた。
『えっ…』
「よぉ、シェリーちゃん。」
呼ばれた名前はその人に呼ばれたいものではなかったけれど嬉しかった。
カイはその人とやり取りを少しすると帰ると言い風のように去っていった。残された私は気まずくてどうして良いか分からなかった。
「とりあえず部屋…入って良いか?」
沈黙を破ったのは向こうの方で私はそれに応じる形となった。でも私はこの場を乗り切る自信は全くなかった。
──
ソファに向かい合わせで座ったが目を合わせることが出来なかった。紅茶を入れようと席を立とうとしたら止められた。話がしたいと言われたが私はするつもりはなかった。話しかけられる事に答えるのみで私からは何も言わなかった。
でも"ステラ"という名前が出た時、胸が傷んだ。その人の口から別の女性の名前が紡がれる事が苦しくて辛かった。でも他の人だったらここまでじゃなかったと思う。きっと彼女だから。白いドレスの似合う彼女だからだ。
その人は私に部下の非礼を詫びたけどそんな事聞きたくないから帰って欲しいと伝えたのに。
「別に俺はそれだけで来た訳じゃない。」
『……。』
「ただ、お前に会いたいと思ったから此処へ来た。」
本当なら嬉しい筈の言葉も今の私には呪いのように聞こえた。だから抱き寄せられた時、思わず手を払って距離を取ってしまった。向こうは驚いたと思う。どうしたと聞かれた私は拒絶の意志を示した。
『…触らないで。』
「身体が辛いのか?」
『違う!』
「なら、どうした?…俺の事が嫌いになったか?」
いつもクールな顔に悲しみの色が見えた。
『…嫌いになる訳なんかない。そんなんじゃないの!』
そんな訳ない。好きだよ。貴方のことが大好きだから触れて欲しくない。私は貴方に釣り合う女じゃない。
私は貴方のことが好きだと言いながら他の男に抱かれたの。貴方に会えない寂しさを紛らわしたかったのか男に気持ちが傾いたのかはもう今となっては分からない。でも、拒むことは出来た筈なのに。
そんな私が貴方に優しくされるなんておかしいでしょう?
──レイン