【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第24章 黒と白
「とりあえず部屋…入って良いか?」
俺は沈黙を破りミスティに聞いた。
『…どうぞ。』
ミスティは入口を塞いでいた身体を横にずらしスペースを作った。
俺が部屋に入るとガチャッと扉を閉める音が室内に響いた。ソファに座りお互い向き合うような形になったがミスティは目を合わせようとしない。
『紅茶…入れますね。』
落ち着かない様子のミスティは席を立ち紅茶の準備をしようとした。俺は咄嗟にミスティの腕を掴んだ。
「いや、いい…話がしたい。座ってくれ。」
大人しくソファに座り直したミスティに俺は言った。
「傷…痛むか?」
『…少し。』
ポツリと小さな声が聞こえた。
「なら何故もう少し医務室で休まなかった?」
『……。』
「ロゼ?」
『…早くあの場から消えないと、と思ったので。』
ミスティの答えにパーティー会場でのやり取りを思い出した。気にしていたのか。
「ステラが悪かったな。だが、俺達はお前の事、そんな風には思っていない。」
素直な気持ちを述べた筈だが、ミスティの顔色は冴えなかった。
『その事で来られたのならもう良いので…お帰り下さい。』
ミスティは立ち上がり窓の方へ行き俺に背を向けた。
「おい…」
此処に居るのはミスティと俺しか居ないにも関わらず他人行儀なミスティの態度に戸惑う。
「別に俺はそれだけで来た訳じゃない。」
『……。』
「ただ、お前に会いたいと思ったから此処へ来た。」
俺は立ち上がりミスティの傍に行きミスティを抱き寄せようと肩に触れた途端、
『いやっ!』
「!?」
ミスティが俺の手を払い身体を離した。拒絶されると思っていなかった俺はその場で固まった。
「おい、どうした?」
『っ…!』
俺から離れたミスティを見ると身体が震えているように見えた。顔色も悪く目には涙を溜めている。
『…触らないで。』
「身体が辛いのか?」
『違う!』
「なら、どうした?…俺の事が嫌いになったか?」
言いたくはなかったが理由が見当たらず口にした言葉。すると、ミスティがその場に泣き崩れた。
『…嫌いになる訳なんかない。そんなんじゃないの!』
理由は分からないが俺の事が嫌いになった訳じゃないと分かり一先ず安堵した。