【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第24章 黒と白
「此処だよ?姉ちゃん此処に居るんだ!」
「いや、此処は…」
俺の助けた少年はカイといった。案内された場所は…
「此処は昼間に俺が探したホテルだ。調べたが居なかった。」
「嘘じゃないよ。俺、此処で働いてるし部屋番号まで知ってるもん。」
何故調べた時に気づかなかったのか。見逃したのか。いや、確認はした。
フロントは昼間の奴とは変わっていた。カイは慣れた様子で話し掛けフロントの電伝虫を使い客室に連絡を取っているようだ。
「もしもし、姉ちゃん?俺!カイ!少し用が出来たから部屋に行っても良い?…ううん、俺が行くよ!身体まだ痛むだろ?」
間違いない。ミスティだ。軽傷だが傷を負っているのは確かだ。まだ痛むのか…無理しやがって。
「うん。分かった!うん。じゃあ後でね。」
「カイ?シェリー様に何か用なのか?」
フロント係がカイに声を掛けた。ちょっとねと答えたカイに疑問を持った。
「…シェリーだと?」
「え?違うのですか?2021号室にお泊まりのシェリー・レイズ様にご用があられるのでは?」
そんな女は知らない。俺が用のある女はロゼ・ミスティだ。
「兄ちゃん、どうする?」
「…案内してくれ。」
情報はミスティではあるが肝心の名前が別人とは。世話がやける奴だな。
エレベーターで一気に20階まで行きカイが1つの部屋の前で立ち止まる。
「此処か?」
「うん。どうする?兄ちゃんが呼ぶ?」
「いや、カイ、お前が呼んでくれ。」
「分かった。約束だよ?姉ちゃん泣かせたらぶっ飛ばすからな!」
カイは俺にそう言うと呼鈴を鳴らした。暫くして扉の向こうに人の気配がしガチャッと音がし扉が少し開いた。
『カイ?用ってなぁに?』
「うん、姉ちゃんを探してる人が…」
俺はカイの言葉を遮り扉をガバッと開いた。
『えっ…』
「よぉ、シェリーちゃん。」
扉を開き切ったそこには間違いなく俺の探していた女、ロゼ・ミスティが立っていた。
「じゃあ俺は帰るね。」
「あぁ、助かった。」
『えっ、カイ…どういうこと?』
「姉ちゃん、言いたい事ちゃんと言えよ!」
「…カイ!」
戸惑うミスティを残し帰ろうとするカイを呼び止めた。
「男の約束は守る。」
俺がそう伝えるとカイは笑って走っていった。