• テキストサイズ

【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第22章 邂逅


『…何で?』

ベンチに座って空を眺めていたミスティの背後から呼ばれた名前。それはある組織でしか使っていなかった名前。それを知る人物なんて限られる。

『サボ…』

ミスティが振り返るとそこには昔と変わらない太陽のような笑顔を向けるサボが立っていた。

「セレナ、久しぶりだな!まさかこんな所で会えるとはな!」

『うん…』

「2年以上音沙汰ねぇから心配だったが無事で良かった!」

そう言いながらサボはミスティの横に腰を下ろした。

「元気だったか?」

優しく聞いてくるサボにミスティは合わせる顔がなく下を向くしか出来なかった。

「どうした?…セレナ?」

顔を覗き込まれ肩に添えられた手から彼の温かさが伝わってくる。

(どうして今日はこんなにタイミングが悪いんだろう…)

レインの事や自分の裏仕事の事で落ちている時に現れたサボ。忘れようと努めてきて漸く踏ん切りを付けられたと思った矢先の再会。神様は本当に意地悪だ。

『私は…元気だよ。サボは?』

振り絞って漸く出てきた言葉。

「俺が元気な訳ないだろ!お前の事が心配だったんだ!」

『…っ、うっ』

優しく掛けられるサボの言葉に堪えていた涙腺が崩壊した。泣き出すミスティを見たサボは慌てた。今までこんな弱った彼女を見たことがない。

「おい、セレナ。どうした?」

何も言わず泣き続けるミスティを見ながらサボはいつか誓った決意を実行した。

『ごめんなさい…何でもないの。ごめ…っ』

──グイッ

『サ…ボ?』

ミスティを抱き寄せ腕に力を込めた。

「悪かった。お前いつも1人で頑張ってたのにな。俺、何も出来なかった。」

『そんな…』

「任務まだかかるのか?戻って来い、セレナ。」

嬉しかった。サボに戻って来いと言われた事が。サボの腕の中で幸せを感じたミスティは、言ってはいけない一言を言いそうになるのを必死に耐えていた。

──帰りたい

サボの処に帰りたい。自分の事を忘れていても良い。それでも近くに居たい。そう願ってしまった自分は諜報部員として未熟だと思った。

プルプルプル…

サボの電伝虫が鳴ったことで緩んだ腕。悪ぃと言って離れた熱。聞こえてきた声に一気に現実に引き戻された。

「もしもし?サボ君?一体何してるの!?」

コアラの声だった。
/ 409ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp