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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第22章 邂逅


パーティーも始まり、アリスがピアノの準備に入ったところでミスティは夫妻の許可を取り皆と離れ目立たぬよう会場の隅に移動した。

主催者と近しい関係の夫妻の近くに居れば自然とレイン達が目に入ってしまう。向こうもおそらく気付いていると思う。レインの隣で微笑む女性。レインの事が好きな事がよく分かる。素敵な白いドレスを着た彼女はレインとお似合いだった。

ミスティはそんな2人を見たくなくて会場を抜け出した。アリスのピアノ演奏は見届けると約束した為、会場を去ることは出来ない。ピアノ演奏迄はまだ時間がある。ミスティは人気のない中庭のベンチに腰掛けた。

『…裏のお仕事が専門か。』

先程、レインの隣に居た女性に言われたことを反芻した。確かにCPの中でも"闇の正義"を掲げる自分達は他のCPからしたらそのような目で見られているのかもしれない。

『私は勘違いしていたようね…』

ミスティはレインにとって自分は恋人まではいかないが他の女性よりは特別だと思っていた。しかし、先程の一見でそもそも彼の隣に並んで良い人間ではなかったのだと気付かされた。

『また、居場所無くなっちゃった…』

溢れそうになる涙を堪え顔を上げると、綺麗な丸い月と夜空に瞬く星々が広がっていた。

『懐かしいなぁ…あの日もこんな夜だった。』

そう呟いた時だった。

「…セレナ?」

『えっ?』


──

アリスは別室でピアノの事前練習をしていた。ふと、先程のミスティの様子を思い出し手を止めた。

「ミスティさん、何だか哀しそうだったな。」

任務中でもいつも笑みを絶やさず明るく接してくれた彼女が、今日、会場でレイン達と出会ってから元気が無かった事にアリスは気付いていた。

「ミスティさんの恋人はスティルハートさんだと思っていたのに違ったのかな?」

今日、レインの隣には別の女性が居た。親しげに話す素振りもあった。反対にミスティとレインが話すような事は1度もない。

「よく分からないけど、ピアノを上手く演奏してミスティさんに喜んでもらおう!」

アリスは幼いながら健気にそう心に誓い、迫る演奏迄の時間をウォーミングアップと練習に充てるのだった。
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