【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第22章 邂逅
アリスが急に走り出した事で慌てたミスティは直ぐにアリスを追い掛けた。
「スティルハートさん!!」
『えっ?』
アリスの叫んだ名前はミスティの愛しい人と同じ姓だ。視界に入ったアリスを抱きとめた人物。
(…レイン!)
目の前にはずっと会いたかったレインが居た。向こうも予期せぬミスティの登場に驚いているようだ。
「…ロゼ?」
「スティルハートさん達も招待されたの?会えて嬉しい!」
「アリス様、お久しぶりです。」
飛びついてきたアリスをゆっくり床に下ろしレインは答えた。
「アリス様もいらしていたのですね。」
「うん、そうなの!ミスティさんも一緒だよ!」
アリスに向いていたレインの視線がミスティへと向く。
──ドキッ
目が合った途端、心臓が大きく音を立てた。ずっと会いたかった人が目の前に居る。それだけでミスティは嬉しかった。
『あの…』
咄嗟に名前を呼ぼうとしたがそれは叶わなかった。
「あの、レインさん。此方の方々は?」
レインの隣に居た女性がレインに身体を寄せ腕を絡ませながら尋ねたことでミスティの声は掻き消された。
「貴族のアリス嬢とCP9のロゼだ。」
隣の女性の存在とレインの形式的な紹介に心が軋んだ。
「そうなんですか。裏のお仕事が専門のCP9が何故此処に?」
『っ…!』
「おい、ステラ…!」
「そんな言い方!」
先程から気まずそうな顔をしていたコリンとセツナが口を開いた。
「だってそうでしょう?CP9がこんな華やかな場所に居るなんておかしいと思いません?」
ステラの物言いはアリスの前では聞かれたくなかった。ミスティはアリスの手を引きその場を離れようとした。
『アリス様、参りましょう。』
「ミスティさん、どうしたの?」
哀しそうな顔をするミスティにアリスは尋ねた。
『何でもありませんよ?皆様はお仕事のようですし邪魔は出来ません。』
「そっか!ごめんなさい!またね、スティルハートさん。」
『…私のような者が来るべき所でないことは承知の上です。アリス様の勇姿を見届けたら出ていきますので。』
そう小さな声で告げるとアリスの手を引きミスティはその場を離れパーティー会場に入っていった。
(どうして何も言ってくれないの?レイン…)