【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第21章 会いたい人
『はぁ…』
ミスティは大きな溜息を吐いた。休みを利用してカリファの言うようにリゾート地に赴き、ホテルのビーチに来たのは良いが…
「かーのじょ!1人?なら俺達と遊ばない?」
「良かったらこの後、食事でも…」
「おネエさん、連れいるの?」
先程から声を掛けられ、寛ぐどころではない。声を掛けられる度に対応しなければいけない状況に嫌気がさしたミスティは、ビーチチェアから身体を起こし掛けてあったストールを掴みビーチを後にした。
『余計ストレス溜まった…』
ミスティの気持ちも分かるが、世の男性陣からすれば抜きん出た美貌とスタイルの良さを惜しげも無く晒している水着姿のミスティに声を掛けない事の方が無理な話だ。
『ショッピングでもしようかな…』
部屋に戻り膝下丈のタイトなワンピースに着替え一応サングラスをして出掛けた。
──
『これカレンに似合うかも。』
流石リゾート地だけあって洋服や小物、ジュエリー等のショップが軒を連ね売られている商品も質が良い物ばかりだ。
『にしても、海賊達多いわね。』
ミスティはカフェのテラス席で一休みしながら街の様子をボーッと眺めていた。羽振りが良い客は島の住民や商人にとって金を落とす対象の為、海賊の扱いにも慣れているようだ。海賊達も気兼ねなく闊歩している。
『…自由に生きるのってどんな感じなんだろう。』
幼き自分とサボが夢見た自由に生きる未来、そしてサボがなりたかった海賊という存在。目の前を行き交う彼等を見て昔を思い出した。
『…最近はサボの事、普通に思い出せる様になったな』
ふと、そうミスティは思った。ずっとサボの事は考えないように気持ちに蓋をして抑えてきた。サボへの想いがミスティ自身を苦しめてきたからだ。だが、最近は違う。サボがミスティにとって大切な人である事に変わりは無いが、今は普通に考える事が出来る。心の中で気持ちの一部が変化したからだ。
『レイン…』
愛しい人の名前を呟いたミスティは後悔した。会えない事に理由を付けて諦めていた気持ち。本音は会いたい。出来ることならこんなリゾート地を一緒に歩きたい。
『もう別の女(ヒト)…居たりしないよね?』
自身が発した言葉にショックを受け頭を抱えた所で声がした。
「…ロゼ様?」