【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第20章 水の都へ
「…お前は相変わらず読めない」
唇が触れるか触れないかの距離まで顔を近づけてきたルッチにドキッとした。以前のようにキスをされると思い少しだけ心が跳ねたのだが…
『貴方はまだ私を疑ってるのね…』
ミスティは自分の胸に当てられたルッチの手に触れ呟いた。情事のような甘いものではなく胸の奥のもの目掛けて添えられた手はそれが何を意味するのか一CPであれば分かる。
「……。」
何も答えないルッチの目を見ながらミスティは続けた。
『…以前も伝えたけど殺したければ殺せば良い。』
「!?」
『貴方が私を信用出来ないなら…』
ミスティは自ら服のボタンを外し、触れていたルッチの手を突き立てるように直に胸に押し付けた。
「お前…」
『疑わしきは罰する…それがスパイのセオリーでしょ?』
ミスティにとってルッチの信用を得ることは今後の任務に於いて必須事項だ。
だが、ミスティの中ではもう1つの期待があった。
"この人なら私を世界政府の裏切り者として、革命軍のまま終わらせてくれる"
ミスティは潜入している政府での生活が日常になっていた。此処での皆との関係を踏み躙ることはしたくない。CP9のメンバー、コリンやカレン。それにレインの事も…
でも、ドラゴンさんを裏切ることは出来ない。革命軍に戻る事は無くとも心は革命軍と共にありたい。
相反する2つの思いがミスティを悩ませ判断を鈍らせていた。それならば今此処で終わらせるのもアリかもしれない。
『…貴方なら一突きで終わらせてくれるでしょ?』
「……。」
ルッチは何も言わず顔を背けた。ふと、その時に捉えたミスティの腹部の傷。スっと触れるとミスティの身体に反応があった。
(死にかけた時の傷か…)
ミスティが任務で瀕死の傷を負った事はルッチも知っていた。
「…残ったのか?」
『え?あぁ…これで身体を使う任務は不可能。役立たずでしょ、私。だから…』
殺せ、と続けようとしたミスティは言葉に詰まった。ルッチが傷に唇を寄せたのだ。
「クズ共にお前は勿体ない」
ミスティの目が揺れた。
「…そんなに俺に殺されたいなら望み通り喰い殺してやる」
『ルッチ…』
その言葉を皮切りにどちらからともなく唇を合わせ互いを求め合う身体はシーツの波に沈んでいった。