【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第20章 水の都へ
ルッチとの接触を一旦諦めたミスティはガレーラカンパニーを離れ市街地へ来ていた。
『賑やかな街ね。』
ウォーター・セブンの中心街である造船島。店も多く市民は楽しそうに笑っている。ミスティは出店で水を買い近くのベンチに座って暫く街の様子を観察した。
『皆、笑ってる。市民の幸福度が高いのね。』
ミスティは今まで見てきた世界の格差を思い手に力を込めて固く握った。ミスティは俯き自分の無力さに嘆いた。
『世界がみんなこうだったら良いのに…私は無力ね。』
「お前はそれでもCP9か。」
『!!』
独り言のつもりで発したのに誰かに拾われていたとは失態。ミスティは顔を上げ声の主を確認した。
『ルッチ…』
「……。」
ルッチは無言でドカッとミスティの横に腰を下ろしベンチのミスティ側の背もたれに腕を回した。
「クルッポ」
ハットリがミスティの肩に乗り移りミスティの頬に擦り寄ってきた。
『ふふっ。可愛い…お名前は?』
ハットリとは初対面ではないがミスティは名前を知らなかった。
「…ハットリ」
ん?明らかにルッチの声では?声色は変えているようだが…。ミスティの視線に耐えかねたルッチはハァっと溜息をつき、ミスティにグッと顔を寄せ耳元で囁いた。
「…任務の為、俺はハットリを通してしか話さない。船大工としての俺は絶対自分から言葉を発しない。覚えておけ。」
いきなりで驚いたミスティは理解に苦しんだが、要はハットリを介し腹話術のような感じで話すということだろうと結論付けた。
『…了解。』
ハットリのことは分かった。が、近い。いい加減離れて欲しい。無駄に色気があるルッチにこうも近付かれると落ち着かない。
『あの!近いです!あと、これ。長官からです。読んだら捨てろとのことです。』
そう、ルッチの身体を押しながら手紙のことを伝えた。
「…今は受け取れない。夜、酒場で待ってろ。」
ミスティの任務終了の予定がルッチの予想外の回答で先延ばしになった。不満そうな顔をしていると、
「返事は?」
ルッチに睨みと共に威圧的に問われた。
『…畏まりました。』
ミスティが答えると、ルッチは立ち上がり仕事に戻ると言いガレーラカンパニーに戻って行った。
『…でも何でルッチが此処に?』