【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第18章 大事な女
俺は用意された部屋に入り、ネクタイを緩めながらソファに腰掛け一息ついた。
「海軍大将がわざわざあの件で動くのか?」
先程のクザンさんとの事を考えながら俺は思った。海兵の失態と言えばそうだが、あの場の仕切りは俺だった。俺の責任だ。大将が動く程の事でもないとするとクザンさんの個人的なものか。あの人に心配される程、俺は今ヤバいのだろうか。
「…やめた」
あの人の思考なんて考えるだけ無駄かと思いやめた。
ここ最近は部下を連れず単独で任務に就くように意図的にしていた為、コリンやセツナは俺を心配していた。任務の間は余計な事を考えずに済むし、2人には悪いが単独なら周りを気にせずに居られる。
2人はCP8の部下の中でも特に目をかけているし大事な仲間だ。俺を慕ってどんな時も力を発揮してくれている。
「…ロゼの二の舞にはさせられない。」
自分で言った筈なのに、ロゼという名前に気持ちが沈んだ。俺が任務に出てから1ヶ月。まだ眠ったままであろうアイツを思うとイライラしてきた。
(いい加減、目を覚ませよ)
帰ったらぶっ叩いてやろうかと思いながら久し振りに襲ってきた睡魔に身を委ねた。
──
「いやぁ~悪かったな。レイン。」
「いぇ、別に。」
本部に着いたのは深夜だった。日が落ちる前には着く予定だったが、途中で海賊と出くわし一戦交えた為遅くなってしまった。
「やっぱりお前が居ると楽だわぁ~相変わらずで安心したわ。」
「…部下を鍛え直す事をお勧めしますよ。」
早く帰りたかった俺は、海賊に手を焼く海兵に呆れ参戦した。正直、あれに手を焼くようであれば海兵の組織自体を心配してしまう。
「まぁな。皆が皆、同じレベルではないからねぇ。まぁ、頑張るよ。」
「そうですか。では、俺はこれで。送って頂き有難うございました。」
皮肉を込めて言う俺にクザンさんが言った。
「今日は遅いから明日顔出すわぁ。」
そう言いながら俺に背を向け手を振りながら船に戻って行った。
海軍大将が来るならバタバタするだろうと予想し、俺は早く休もうと本部に戻るのだった。