【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第16章 眠り姫
──ここは何処だ?真っ暗で何も見えない。目が慣れてくるとそこは辺り一面血の海。そこに倒れている女。抱き起こすとそれは…
「ロゼっ!!」
ハッと目が覚めた。またあの夢か。最近同じ夢を見る。あの日からだな…
──半年前
「アリス様!!」
勢い良くドアを開け、ドアの近くで夫人達と一緒に震えるアリス様を見つけた時は安堵した。
「アリス様、ご無事ですか?」
「ぐすっ…ふぇーん、スティルハートさん…」
俺にしがみつき泣きじゃくるアリス様を宥めるよう背中を摩った。
「…ぐず、うぅ…ミスティさんが!」
ロゼ…そうだ、アイツは何処だ?
部屋を見渡すと此処に来た時は気付かなかったが部屋の中が滅茶苦茶だ。窓は割れ、ベッドや家具は至る所に破壊の跡がある。入口付近に2人、窓の近くに1人、ソファ付近に1人、倒れている男達。近くの2人を見ると絶命している。
遅れて部屋に来たセツナにアリス様達を任せると俺は残りの2人を確認する為に立ち上がった。
ソファの近くの男も絶命していた。的確に急所が刺されており仕留めた奴の実力が見て取れる。
残る窓付近の男を見た時目を疑った。
「此奴は!!…ブルイヤール・ネーベル。」
その名を聞きセツナも驚いていた。8,000万の賞金首だ。元々海軍が目をつけていたがロギアの能力者の為、中々捕まえることが出来ずに居た。そんな奴が何故此処に?しかも死んでる…ロゼが殺ったのか?
ただ、此奴の体や傷を見るに心臓を一撃で貫かれている割に血が流れすぎだ。窓から吹き込む雨と風で気付くのが遅れたが部屋の中心から窓際に掛けて血の海だった。その血が不自然に窓の外に向かい伸びている。
「…まさか!!」
俺は破壊された窓から下を覗き込むと中庭の石畳の上に倒れるロゼを見つけた。
「ロゼっ!!くそっ!!」
窓から飛び降り駆け寄りロゼを抱き起こした。全身血だらけで腹部の大きな刺傷から血が流れ続けている。おそらくネーベルに止めを刺したが誤ってあそこから落ちてしまったのだ。部屋の状況から殆どの血が此奴のものだ。意識を保つ事が出来ていれば受け身か鉄塊で防御出来たはずだが出来ていなければ…。
俺は気休め程度にしかならない止血を行いロゼを抱き医療行為をすべく海軍の船に急いだ。