【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第16章 眠り姫
──サァァ
「わぁ、良いお天気!」
カーテンを開けたカレンは眩しい日差しに目を細めた。
「おはようございます。ミスティ様!今日はホントに良い天気です!風が気持ち良さそうなので窓開けますね~♪」
勢い良く開いた窓からフワッと風が入ってくる。優しい風によってミスティの薄い金色の髪が揺れた。
「うん、今日もお顔の色は良さそうですね!」
カレンはミスティの顔を覗き込んだ。
「今日は何のお話しましょうか?」
カレンは楽しそうにミスティの手を握り椅子に腰掛けた。
──
レインはCP8の本部内にある1つの部屋の前まで来た。来るつもりはなかったが何となく此処に足が向いた。
部屋のノブに手を掛けたところで、部屋の中から楽しそうな女の声がしたので壁にもたれ様子を見ることにした。
「ミスティ様、ここは夜があるから星が綺麗ですよ。朝焼けも素敵…エニエス・ロビーは不夜島だから新鮮ですよ?…あ、でもミスティ様は色々な処へ行かれてるから珍しくないですかね?」
ふふっと笑うカレン。
「CP9の皆さんは相変わらず忙しそうですよ?長官殿を除いて!」
カレンは楽しそうに話しながらカレンダーを手に取り今日の所に大きくバツを書いた。
「そう言えば、明日はミスティ様のお誕生日ですね!去年は2人でお祝いしましたね!今年はどうしましょうか?任務はないからお祝い出来ますね!ケーキとワインと…」
(アイツ明日が誕生日なのか…)
──大切な人との食事って楽しいですよね
「…っ!」
半年前にミスティがレインに言った言葉。誕生日のくだりで思い出してしまった。レインは結局、部屋の主を訪ねることなくその場を離れた。
そんなレインの行動にカレンは気づいていた。
「あの方…ミスティ様とお話がしたいんですかね?私がミスティ様独占しちゃってるから悪いことしたかな。照れ屋ななんですかね?」
ドアに向けていた視線を戻しカレンは笑顔で問う。
「ね?ミスティ様?」
そこにはカレンが仕えるCP9の1人、ロゼ・ミスティが静かに眠っている。見た目は何もかも最後に任務に送り出した時の彼女のままだ。
ただ唯一違うのは彼女が目を覚ますことなく眠り続けていること。
──あの日から、ずっと。