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十六夜の月【アイナナ短編集】

第2章 二夜目.ファンには夢を、君には愛を




—12小節目—
イコール


ベットの上から、エリは時計を確認する。あと十五分もすれば、零時を迎えようとしていた。それすなわち、もう少しで大和の誕生日が終わりを迎えるということ。プレゼントを渡して、おめでとうと言うなら、急がねばならなかった。
エリがこうして尻込みをするのには、理由がある。それは、用意したプレゼントの内容にあった。


『えと、大和。遅くなったけど、お誕生日おめでとう』

「おぉ、そうだった。ありがとね」

『皆んなから愛されてる大和が、今こうして私の隣に居てくれること、とても嬉しく思うよ』

「はは、嬉しいこと言ってくれるなあ」


大和は笑って、エリの髪をくしゃりと撫でる。


『それで…、プレゼントなんだけどさ、その……』

「その感じ、用意する暇なかった感じか?エリは忙しいし、んなこと気にしなくていいって」


言い淀むエリを見て、大和は優しい言葉を掛けた。一応は用意してあるのだと、告げるタイミングを彼女は完全に見失ってしまっている。


「まぁでも、逆に良かったかも」

『え?』

「実は…。リクエストしたいもんが、あったりなんかして?」


大和は気恥ずかしそうに、手を首の後ろへ回す。

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