第2章 二夜目.ファンには夢を、君には愛を
身体をふわりと持ち上げられて、大和の顔がより近くなる。彼の首の後ろへ手を回して、自分からキスをねだった。見知った大和の匂い。味。いくら見知ってはいても、決して慣れることはない。
唇を離して息継ぎをするエリを、大和は愛おしそうな瞳で見つめていた。
『な、なに』
「いや、なんか。必死で可愛いなぁと」
『なっ、なんでわざわざ、そんな意地悪なこと』
「好き?キス」
『……大和との、キスが好き』
「っう゛」
大和は、上目遣いで見つめてくるエリから顔を晒し呻いた。
「俺もエリとキスするの好きだし、あと…今みたいに素直なエリが好きだなって思う」
『大和…。頑張ってるね。顔真っ赤だよ』
「そういうのは気付いても言わないでもらっていい?」
小さく息を零すエリの額に、大和は自分の額をこつんと合わせた。
それから、優しくベットへと下される。横になった自分に大和が股がり、じっと至近距離から見つめられるのはいつだって緊張する瞬間だった。
重力に従って垂れ下がる大和の髪を、指先で弄ぶ。そうして、キスをして欲しいと見上げるのだ。すると彼はいつも決まって、こちらの心を読んだかのように口付けをくれた。
『ん…っ、ふ ぁ』
「は……、」
柔らかい舌は、気のせいか徐々に熱を上げているようだ。ねっとりと淫靡な動きで全部を絡め取られて、口中が大和でいっぱいになる。このキスが一生続けば良いと願ってしまうほど、多幸感で胸が溢れていくのだった。