第2章 二夜目.ファンには夢を、君には愛を
大和は自分のシャツを脱ぎ捨ててから、エリの服のボタンを外す。長く綺麗な指先が、丁寧にひとつひとつ外していく。
「不安にさせて、ごめんな。俺、全然いい彼氏じゃなくて、ごめん」
エリはゆっくり頭を左右に振り、大和の頭を優しく抱き込んだ。自分だけではなく、彼もまた何かに悩んでいたこと。どうして気付けなかったのか。自身のことに手一杯で、大和の心を見落としていたのだろう。
『私だって、いい彼女じゃなかったよ』
「んなことないっしょ。料理は上手いし可愛いし。お兄さんの自慢だけどなあ」
白く柔らかい膨らみを、大和は小さく吸い上げた。チリっとした甘い痛みが走り、嬌声が口を突いて出る。
小さく咲いた赤い華を、大和は満足気に舌先でなぞった。
『っん…、大和が、跡付けるの…珍しいね』
「ほんとは、ずっと付けたかったよ。俺の印」
大和は言うと、また場所を横へずらして同じ行為をする。彼が言った “印” は、数を次々に増やしていった。
『ぁ…っん、や、だっ』
「…付けられるの、嫌?」
『……嫌じゃ、ないけど』
「はは。そういう、優しいとこも好きよ」
まるで悪戯っ子のような笑顔の大和。この顔でおねだりされてしまえば、誰だって大抵の要求には応じてしまうに違いない。
『見えるところは、駄目だからね…っ、んっ』
「ちゅ、……んー、どうしようかな」
彼は真意の見えない笑顔を浮かべた。