第6章 六夜目.その御伽噺の続きを私達はまだ知らない
しかし翌日も、その翌日も、ハンサムとやらは懲りずに申請を送り付けてきた。ついにエリは根負けして、承認ボタンをクリックすることとなる。
と同時に、どこか聞き覚えのある訛りが強い日本語がヘッドフォンから流れてくる。
《 はじめまして、My Princess. 御目通りの機会をいただき、感謝します 》
ヤバイ人だ。エリはすぐに、ブロックのボタンを押さんとする。
《 No! please!どうかそのままで。ボイスが邪魔なら、もう喋りません。良い子でゲームをプレイすることを約束します!だから…、どうか…》
その切実な声色に、エリは小さく息を噴き出した。
『ふふっ』
(なんだろ、変な人)
エリはボイチャには応じることなく、代わりにチャット欄へ “よろしくお願いします” と打ち込んだ。
すぐにチャットが返ってくる。
[ :- ))))) <3 ]
その間の抜けた顔文字に、またしてもエリは堪え切れず笑みを零した。