第4章 四夜目.恋のかけら
都合が良いとは分かっている。分かっているが、エリは環の腕の中に入った瞬間に思ってしまった。
正解はここにあるのではないか、と。
「俺には、えりりんが嘘つく理由がよく分かんないけどさ。俺、嘘はすげぇ嫌いだし、もし本当にあんたが俺のこと嫌いだって言うなら、好きになってもらえるように頑張るから。だから、もっかい訊いていい?
えりりんは、俺のこと嫌い?」
“ その気持ちは、本当に抑える必要がありますか?”
昨日、壮五にされた質問だ。
あの時は、あんなにも自信を持って答えられたのに。
どうやらこの場所では、嘘を吐くことが出来ないらしい。
『嫌い、なわけが…ないよ』
それを言ってしまってから、エリは身体から余計な力が抜けるのを感じた。だから、環の背中に腕を回すことが出来る。
『好きだよ。私もあなたのことが、好きです』