第3章 三夜目.トライアングラー
「……オレみたいだな」
堂々と並ぶ、完璧に整った美しい三角形達。そんな中で、浮いたように隣にいる、歪で地味なおにぎり。そんな姿を、TRIGGERやIDOLiSH7メンバーの隣に立つ自分に重ねた。
どうしても視線を外せなくて、膝を折ってまで一番下に追いやられたおにぎりを見つめ続ける。
『あの…やっぱり、目立ちますか?そのおにぎり』
「えっ、あ、いや、目立つってよりも…」
ガラスに張り付いてまで見つめていたのが急に恥ずかしくなって、彼女の顔が見れなかった。仕方なく、引き続きその俵おにぎりに視線を送りながら言葉を返す。
「綺麗な三角に比べると、パッとしないと言うか…地味で…華がないなって」
あぁ、ヤバイ。言いながら、悲しくなってきた。今さらになって、さきほどのAD達から浴びせられた言葉が刃となり心に突き刺さる。
『そんなこと、ないですよ!』
「えっ」
その力強い声に弾かれるように、オレは初めて顔を上向ける。
すると、ショーケースの上に身を乗り出してこちらを見下ろした彼女と、バチっと視線がぶつかった。
その真剣で真っ直ぐな眼差しを一身に受ければ、オレの視界にはチカチカとした光の粒がいくつも弾けた。