Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第51章 生き方
「なんというか、君は…エルヴィンに似てなにか大きな使命を持っているように感じるな。宿命…とも言うべきか…」
「使命っていう言葉はあまり好きではないんです。なんだかそれって、独りよがりの思いって感じがするから…自分の人生や、現状への不満みたいなものまで含まれているように聞こえて…」
けれど、エルヴィンが死んでから、使命を少なからず感じることができるようになって、それによって、自らの人生が受動的なものではなく能動的なものに変化していったのも事実だ。
「宿命っていうのも、決められた人生を決められた通りに生きることであり、自分の無力さを肯定するようにも感じる。だから私は、運命という言葉を選びます。自分の人生を自ら切り開いて生きようと…そう、決めたんです。」
「そうか…俺のように決められた道を決められた通りに進んでいるような人間にとっては、君やあいつのような存在には圧倒されるよ…」
ナイルは自嘲気味に笑った。
自分はなんだかんだ普通に結婚し、普通に子供を授かり、普通のありきたりな人生を生きている。
それに比べて…ルーナたちは…
「でもナイルさん、人間一人一人は、顔かたちも違えば心も異なる。それぞれに与えられた素質や性分といったものも違いますよ。だから個々にそれぞれがそれぞれのものを発揮しつつ、自分の人生を全うしていくという使命があると考えてもいいでしょう。」
ナイルはますます目の前にいる1人の女兵士に圧倒させられてしまった。
まだ自分よりも全然若いのに、どうもこの娘と話していると、もっと別の上の次元の何かと喋っている気にさえなる。
そして妙な緊張感が走るのだ。
「はっ。君には感服せざるを得ないな。さすがエルヴィンの妹…いや、同志と言うべきか…」
「やめてくださいよ。あなただって私たちの同志でしょう?」
「俺も…同志でいいのか」
「当たり前です。」
2人の表情と空気は柔らかくなった。
"人は運命に囚われているのではない。いつだって自分の心に囚われているんだ。
未来とは、予測するものではなく自分で可能にするものだということだ。"
ルーナはエルヴィンの手紙に書かれていたこの言葉を思い出して静かに笑った。