Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第51章 生き方
ナイルが考え込むように腕を組んでいると、ルーナが真剣な口調で続けた。
「ナイルさんあなたは、奥様と3人のお子さんを、とても大切に思っていますよね?」
「ああ…それはもちろんだ。」
「ご自分の命より?」
「ああ。」
「ではそのご家族に、もしも命の危険が迫ったら?」
「…命を賭して戦うさ。最期まで…」
「では仮にそれであなたが命を落としたとしたら?その後は誰が御家族を守りますか?」
言葉に詰まり、冷や汗が流れる。
目の前の、冷徹かつ真剣な瞳が残酷な光を纏って突き刺してくる。
見開かれたその視線と合わせているだけで怯んでしまいそうだ。
「そのような事態に陥るのは、明日かもしれないし、数時間後かもしれない。そうでないという保証はどこにもないですから。いつ何が起きてもおかしくはないのです。」
それは至極その通りだ。
ナイルは押し黙った。
「命には、皆それぞれ優先順位がありますよね。ナイルさんは御家族が誰よりも1番優先したい命であるように、私にもリヴァイという存在がいます。
誰よりも1番生きていてほしい。誰にでもそういった存在があります。
しかし…」
その瞳が、儚げに揺れ動いた。
窓の隙間から、訓練中の兵士たちの声が聞こえる。
しかしこの空間だけは今、完全にルーナのオーラに支配されていた。
「…それが許されないのが調査兵団という組織なのです。命の優先順位を考えてはならない。私情を持ってはならない。命を賭して全住民を守る。この島を守る。そういう集団です。」
ナイルの額に冷や汗が流れた。
鼓動が早くなったのは、その冷酷な視線だけではなく、残酷さながらの調査兵団という生き方そのものについて怯んだからだ。