Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第51章 生き方
2人同時に紅茶を啜る。
しかし口を離した瞬間から、ナイルもルーナも真剣な顔つきになった。
こんな雑談をしに来た訳では無いことはルーナもわかっていた。
「君に相談があってな。…他ならぬ君だけに…」
「はい。どうぞ。」
ルーナはカップをテーブルに置くと、真剣でいてどこか冷たいような真顔でナイルに向き直った。
ゾッとするようなその表情に、ナイルは美しいがどこか不気味だと思った。
「ジークとエレンについてだ。我々兵政権はジークのことを信用できていない者がほとんどだ。俺も含めてな…」
「そうですね、それは無理ないと思います。」
キッパリと即答したルーナは、やはりこの話かと、この先もきっと予想通りであろう内容に耳を傾けた。
「それで?今後の展望か、秘策か何かが?」
ナイルが神妙な面持ちで口を開いた。
「ジークをこの島へ迎え入れたら、獣の巨人をこの島の誰か信用のおける者に移したいと考えている。もしくはエレンにジークを食わせるべきか。と。」
そのことは実はルーナがとっくに知っていることを、ナイルはもちろん知らない。
調査兵団にはとくにひた隠しにしてきた事実だ。
全く驚きや戸惑いの表情を見せないルーナを訝しげに思いながらも、ナイルは続けた。
「これはもちろんこの島存続のため、危機が及ばないようにするためだ。…君は…どう思う?」
ルーナは顔色一つ変えず、ジッとナイルを見つめている。
その様子に緊張感が走る。
「正直…私の口からはなんとも言えません。ただ…もはや今、我々には時間がないですよね。こうして議論を重ね、決断を先送りにしている我々のせいで、この島の民にむしろ危険が迫っています」
ナイルは息を飲んだ。
至極その通りだ。
いつどこからどの国が攻め入ってくるのか分からないのだ。
そうなった場合に守ってもらおうと縋っているのも、目の前にいるルーナたち調査兵団だ。