Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第50章 トカゲ
人はいずれ死ぬ。
どんなに夢や希望を持っていても、幸福な人生を送ることができたとしても、岩で体を砕かれても同じだ。
ならば人生には意味が無いのか?
そもそも生まれてきたことに意味はなかったのか?
死んだ仲間もそうなのか?
あの兵士たちも、無意味だったのか?
いや違う…
今までの仲間たちに意味を与えるのは
生者である自分たちだ。
そして、報いることができるのも。
もう全くブレの無くなったフロックの瞳を確認すると、ルーナは眉をひそめて静かに言った。
「私はもう、情なんてとっくに捨てたし、全く無意味で邪魔なものだと思ってるのね。だから、私も敵を駆逐したいって思う。エルヴィンの仇、皆の仇を討ちたいって思う。あと…夢を叶えたい。」
たった一つだけ、夢がある。
"皆、あんな所で死ぬべき奴らじゃなかった…
俺はなにもできなかった…"
リヴァイの言葉が脳裏に木霊する。
そして…
リヴァイのあの、見たこともないほど悲しげな、苦渋に満ち満ちたあの表情……
大切な人を奪い、
大切な人にあんな顔をさせた敵…
突然、ルーナの体に激しい憎悪が昇ってきた。
カッと全身が熱くなり、血流が暴れ出すのがわかり、息すら苦しくなる。
「…殺したい…」
自然と口から出た言葉だった。
掠れていて、震えている。
「敵を全員…殺したい…ひとり…残らず…」
「ルーナさん…」
フロックはルーナの肩を抱いた。
「やりましょう、ルーナさん。俺らならやれます。」
ルーナの腕も、フロックの背中に回った。
しかしルーナにとってそれはもちろん下心など一切ない。
同じ同志として、同じ闘志を燃やすものとして、同じ覚悟を持つものとしての抱擁。