Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第50章 トカゲ
イェレナの説明はこうだった。
エルディア人の生殖機能を奪うことによって最終的に巨人を世界から消すことを目的とした計画。
ユミルの民の体の設計を変え、子供が生まれないようにすることで、ユミルの民の人口が徐々に減少していく。
その上で地鳴らしを外国に対する抑止力として使い、国を守っていき、いずれユミルの民が完全に消滅する。
そのためには、始祖の巨人であるエレンと、王家の血を引くジークの接触が必要不可欠であると。
「エレンは決断してくれました。そのために、これから動いていくことを。」
ルーナは目を見開いたまま、頭の中を整理していた。
安楽死…確かにこの計画だと、誰も苦しまずに世界を救える。
私たちエルディア人も、ほかの国々も、恐怖を消し去ることができる。
誰もが脅威を感じなくて済む。
誰もが幸せに生きられる。
でも…
"今世かもしれねぇだろ"
昔子供を堕ろした時、来世でまた子供に会えるかもと言った時にリヴァイが言ってくれた言葉を思い出す。
この計画だと今世ではそれは叶わなくなる…
でも私情を挟んでいる場合ではないことはわかってる…
考えるのは後にして一先ずここは切り抜けよう。
反対してこの場をうまく切り抜けられる自信は、ない。
「…わかった。私も賛同する。」
決意したように言ったルーナに、イェレナははじめからその答えを分かっていたかのように微笑んだ。
しかし、次の言葉でルーナの真剣な表情は一変してしまう。
「ルーナさんは、ここパラディ島の上層部が、ジークの獣の巨人を他の人間に継承させようとしていることをご存知ですか?」
…知っている。
まだジークのことを信用できていない上層部は、ジークを別の信用おける人間に食べさせてその力を奪おうとしていることを、実はルーナは知っていた。
他の調査兵団には隠されている事実だ。
なぜルーナだけ知っているかというと、それはある人物が教えてくれたからだった。
イェレナもそのことを知っていたのか…
「でも、まだそれは決まったわけじゃ…」
「ルーナさん。とにかく時間は無いのです。」
イェレナの真剣な上目遣いにルーナは押し黙る。
"俺たちに時間はない"
エレンのあの時言っていた言葉を思い出す。