Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第50章 トカゲ
ルーナはリヴァイをいつもの調子で見送った。
満月の夜にしたあの約束…
あれを境に、もう二人の間には余計な心情はいらない。
なにより、自分たちはとても強いのだという自覚がある。
ただ、あるのは唯一、寂しさ。
それだけだ。
「リヴァイ…行ってらっしゃい。」
まだバスローブ姿のルーナに優しくキスを落とす。
「あぁ、行ってくる。」
リヴァイは一度踵を返したかと思えば、また振り返ってルーナを抱き締めた。
そして、バスローブに手を入れ、乳房に手を這わす。
「ちょ、ちょっとリヴァイ!」
むくれたようにその手を掴むルーナの頬にキスをする。
「いいじゃねぇか、しばらくお前に触れられねぇんだ。この感触を思い出して自分で慰めることしかできねぇんだからよ…」
そう言ってやわやわと揉みしだいてくるその手を離してルーナはもう…と寂しげに笑った。
昨夜あんなに抱かれたというのにまた熱が上ってきてしまう。
「…言っとくけど、私も同じなんだからね」
リヴァイはどこか嬉しそうな表情を浮かべてルーナの頬に手を滑らせると、濃厚な口付けをした。
奥まで愛を注ぎ、そして確かめるような深いキスに、少しだけ寂しさが誤魔化されていく気がした。
やべぇ…このままだと本当に離したくなくなる…
リヴァイはなんとか理性を振り絞って、長い長い口付けからルーナを解放した。
ルーナの切なげでどこか淫妖な顔が目と鼻の先にある。
「お前…そんな顔で見るんじゃねぇ…荷物に押し込んででも連れていきたくなるだろ」
「ふ…リヴァイこそ…そんな顔しないでよ」
言われて初めて気が付いた。
自分も今ルーナと同じ表情をしていたのだということに。
「帰ってきたら、泣いても喚いても抱き潰してやるからな」
「それはこっちのセリフだってば!」
好戦的な2人の視線が交わったかと思えば、また唇を押し付け、そしてリップ音を立てて離れた。
最後に、リヴァイがルーナの左手を取り、薬指の指輪にキスをする。
これは毎回眠る時にもしている行為だ。
まるでなにかのおまじないか、祈りを込めるように、目を瞑って…
「…じゃあな」
「待ってるね」
真っ直ぐな視線が離れるのと同時に頬を撫でていた手も離れていく。
振り返らずに部屋を出て行くその逞しい背中を黙って見送った。