Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第50章 トカゲ
「ルーナさん…あの…」
「どうしたの?あ、そういえばエレンもハンジたちと一緒に潜入調査に行くんだったよね、マーレへ。」
神妙な面持ちのエレンは立ち上がり、ルーナと向き合った。
「はい、でも、時間がないですよね。ジークの寿命はあと3年もない。」
「うん。そうだね…」
「世界から見ればオレたちは、巨人に化ける怪物だ。ほとんどのマーレ兵は、収容所の壁を睨みつけてる。オレ達には今時間が必要です。」
ルーナは頷いた。
全くもってその通りだと。
いつ世界が攻め入ってくるのかわからないこの状況は、まさにこの島にとって恐怖そのものだ。
「時間が必要。そのためには…」
「そうです。手出しできねぇように…オレが…」
真剣な眼光がルーナに真っ直ぐ突き刺さる。
言いたいことは分かる。
地ならしを発動させる。
そのために、イェレナたちの作戦に従い、遂行していくのだ。
「話し合いでどうにかとか言ってる連中もいるけど…
オレは…間違ってないですよね」
「うん。間違ってないよ。」
ルーナは即答した。
確かに様々な意見がある。
地ならしは世界を恐怖に陥れる悪夢かもしれない。
脅しのようなそれは、本当に正しいのか。
けれど、やるべきだとルーナは思っている。
いつしか私は "情" などとっくに捨てたのだ。
誓ったんだ、あのとき。
自分の大切なものを捨ててまで誓った。
もう迷わないと。
エレンはまだ迷っているのだろうか?
「私は迷ってないよエレン。
生きていく上で、戦っていく上で、勝利する上で、情なんて…そんなもの必要ないからね」
ルーナの弧を描いた口元を見つめてエレンは覚悟したように目を細めた。
「はい。ルーナさん。もっと教えてください。オレたちが勝利する術を…」