Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第49章 生死
「おい…ルーナ…っ…どうした…」
気が付くと、リヴァイが目を見開いて茫然と突っ立っていた。
声を上げて泣いているルーナは、嗚咽を上げながらリヴァイから顔を隠すように両手で覆った。
「ルーナ!…どうしたんだ!」
リヴァイは慌ててルーナの隣に腰を下ろす。
ここ数年、1度もルーナの泣く姿を見ていないので驚きを隠せない。
よほどのことがあったに違いない。
背中を擦りながら、ルーナの握っているそれに目を落とした。
「…?」
クシャッとシワがよっているそれは手紙のようだ。
「そいつはなんだ?」
「エル…っ…からの……」
ルーナが漏らす途切れ途切れなそのつぶやきで何となく悟る。
エルヴィンの野郎…
ルーナをこんなに泣かせやがって…
リヴァイはハンカチを取りだした。
「おい、手を外せ。拭けねぇだろ…」
ルーナは泣きじゃくりながらも頑なに手を外さず顔を隠したままだ。
昔も似たようなことがあったな…とリヴァイは少し頬を緩ませた。
あの時は、腫れ上がった目を見せたくないルーナがずっと顔を覆ったままで、俺が強引に抱き潰して手を剥がしたんだった…
今回もそうするか…?
いや…さすがにできねぇな…
なぜなら
あの時の涙とはまた違う気がする…
ルーナの嗚咽が徐々にやんでいく。
「ほら、拭いてやるから手を退けろ」
「んっ…む…り……酷い顔…してる…」
リヴァイはため息一つ付いてルーナを抱き締めた。
頭を撫でながら耳元に口をつける。
「頼むルーナ…お前の顔が見てぇんだ。」
そう囁くと、ルーナがゆっくりと手を下ろしたのが分かり、リヴァイは身体を離すと、ハンカチで涙を拭った。
ロウソク1本分のランプ1つだけだが、ルーナの顔がよく見える。
腫れて充血した目からはまだ涙が落ちている。
「お前は綺麗だ…」
この世で1番美しい。
リヴァイから見れば素直にそう思える顔だった。
「お前のその顔は、俺だけのもんだ…」
震えている唇にキスをし、そしてリヴァイは立ち上がった。
閉ざされていたカーテンを開けると、一気に部屋に明かりが差し込める。
思わずその眩しさに目を細めた。
そこには見たことのないほど美しい、大きく丸い満月が煌々と光っていた。