Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第49章 生死
「あっ、あのっ、お2人はお忙しいはずですのでどうか戻ってください。後は僕がやっておきますので」
バリスは焦っていた。
こんなことをしている場合ではないはずの2人の手を結局煩わせることになってしまったのだから。
しかしリヴァイは冷淡な口調で言った。
「いや、こいつらの躾がなってなかったのは俺らの責任だ。…というか…ほとんどこいつが甘やかしていることに原因があるが…」
そう言って横目をルーナに流す。
ルーナは苦笑いを浮かべて黙っている。
この3人のことについてはすべて自分らに責任がある。
そのことをきちんと理解はしているので、部下たちの訓練を遮ってまでここへ2人で駆けつけたのだ。
「もうわかったよ、リヴァイ、ルーナ。つまり他の奴らと同じように、2人に心臓を捧げればいいんでしょう?」
「いいや、違うな」
「!?」
リヴァイの強い即答に全員の視線が集まる。
リヴァイはつかつかと絵の前に行くと、ジッとそれを眺めた。
そして強い口調で話し出す。
「こいつらは皆、生き残るべき奴らだった。あんな所で死ぬべき人間じゃなかった」
今度は悔しそうに顔をゆがめ始め、奥歯を噛み締めている。
くっそ…
また思い出しちまう…
だからこの絵が目に入らねぇようにしてきたんだ…
「俺は…何もしてやれなかった。
俺は…守るべき奴らの犠牲の上に生きている…」
俺はあの時、見殺しにするしかできなかった。
そして"アイツ"を仕留めることすらできなかった。
その悲しい叫びは、ここにいる誰もの胸を痛くした。
ルーナはリヴァイのもとへ行き、優しく抱きしめる。
鼓動が早い…
リヴァイが生きていることを実感するように、目を瞑った。
「こいつら…ここに描かれているこいつら皆が死ぬことで俺は生き延びてきた。奴らの心臓の欠片で、俺の命はここにある。」
リヴァイの言葉にルーナは胸が苦しくなり、うつむいた。
残酷でも甘美でもあるその言葉は、目の前の絵を直視できないほど辛く悲しいものだ。
「今日まで戦ってきたのは、死ぬためじゃない。…こいつに…ルーナに…生きて帰るといつも約束してきたからだ。」
ハッとした表情でルーナが顔を上げると、リヴァイの美しく真剣な瞳がこちらを見つめていた。
リヴァイは抱きしめ返すことはせず、また絵に視線を戻す。