Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第48章 才能
「ルーナさん、感謝致します。マーレ人捕虜の労働環境を整えていただいて。」
イェレナの言葉にルーナは微笑んだ。
マーレ人捕虜が増えてきてからというもの、ルーナは数々の職を当てがってきた。
それは正直言えば捕虜たちのためではなく自分たちのためだ。
世界はずっと複雑で知らないことだらけなのだと知ったこの約2年…
私たちエルディア人は世界から恐れられ、憎まれている。
まだ顔も知らない海の向こうにいる人達から。
「ねぇ、イェレナさん、私あなたと話したいと思っていたの」
「私もですよ、ルーナさん。あなたとは初めて会った時からシンパシーを感じていたんです。なんだかいろいろと…心の内を分かり合える気がする…」
身長が2m近くある彼女は、目の前の椅子に腰掛けても背の低いルーナを見下ろす形となる。
「イェレナさんあなたは…神を信じているんでしょう?」
"マーレに故郷を奪われ、兵士として徴用された我々はとても非力で、この大国に抗う気概は失われつつありました。彼に導かれるまでは…"
初めてイェレナと会話をしたとき、こう言っていた。
"マーレや世界の人々が悪魔と呼んで恐れる巨人…私には全く別のものに見えた。…神です。無力な私たちに希望を見せてくれました"
「神…そうですね、確かに私はそう言いました。ルーナさんもなにか信仰なさっている神がいるのですか?」
「…ううん、私は…ずっと分からないの。神がなんなのか…」
イェレナの瞳はとても綺麗な色をしていると思った。
とくにあの時、あれを語っている時の彼女の瞳はまさに煌々とした輝きを放ち、その玲瓏な面持ちにゾッとした。
「人によって神というものの認識は違います。私はただ、彼を信じているだけ。彼が私にとっての神だというように、誰にでも心のどこかで信じている存在がいるはず…それがなんであろうと…」
…それは神なのです。
イェレナは静かに呟いた。
「だからルーナさん、あなたにもいるはずですよね。…あなたにとっての神は、なんですか?」
イェレナの言う"彼"とは、ジークのことであることは明白だ。