Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第48章 才能
「ねぇ、フロック、あなたの信念は、なに?」
ルーナのその質問に、フロックは拳を握った。
それはもう、あの時から決まっている。
「俺もあなたと同じように、全てを投げ打ってでも勝利することです。俺らエルディア人の勝利。それを脅かす奴ら全員への報復。敵を駆逐すること…」
海を睨みながら奥歯を噛み締めているフロックを横目で見る。
きっと、あのとき、私がいなかったあの戦いで、残酷非道な光景を目の当たりにしたのだろう。
そんな中、彼は、瀕死のエルヴィンを運び最後まで注射薬を譲らなかった。
ルーナは穏やかな表情をして言った。
「あなたは聡い。そして勇敢。だれよりもきっと。
そしてあなたは…」
…たまたま生き残ったのではない。
それを聞いたフロックの目が見開かれ、そしてたちまち潤みだした。
「あなたは奪還作戦の急募で調査兵団に入った。なぜ?」
フロックは悔しそうに拳を握り、奥から絞り出すような声を出した。
「理屈ではわかってたんです…人類がただ壁の中にいるだけじゃ、いつか突然やってくる巨人に食い滅ぼされる…誰かが危険を冒してでも行動しなきゃいけない…誰かを犠牲者にさせないために、自分を犠牲にできる奴が必要なんだって…そんな勇敢な兵士は誰だ?そう聞かれた時…それは…」
フロックの目からついに涙が零れ落ちた。
地面に滴るシミをルーナは冷たい視線でジッと見つめる。
「それは…俺だって…思ってしまったんです…
でもまさか、そうやって死んでいくことが…あんなに意味のないことなんて思いもしなかったんだ…考えてみりゃ、そういう人たちの方が圧倒的に多いはずなのに…なんで自分だけは違うって…思っちまったんだろう…」
頭の中には今、あの時の投石で無惨にも散っていった地獄絵図が蘇ってきていた。
ルーナはフロックにハンカチを渡す。