Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第48章 才能
「だいぶ動きが良くなったねフロック」
対人型立体機動装置の自主訓練中、ルーナから声をかけられ、フロックは明るい表情で振り向く。
他の者たちは休憩中だ。
「ルーナさんのご指導のお陰ですよ。」
「そんなことない。あなたは誰よりも強い覚悟を持っている。そういう人が、未来を切り開いていく。」
その言葉はフロックにとって最上の褒め言葉だった。
彼にとってルーナは今では1番尊敬する上官になっている。
「あなたほどではないですよ、ルーナさん…」
自分が彼女を触発して今のルーナがいることを、フロックは分かってはいない。
そんなことよりも、ルーナにいつも贔屓されているあの3人のガキが気に入らない。
3人が現れるまでは、自分が一番ルーナに贔屓されている気さえしていたのだ。
「あいつらはどこです?レオンたち3人は…」
「あぁ、今は射撃の訓練をさせてる。…それよりもうすぐ港が完成するの。ちょっと見に行ってみない?」
ルーナからそんなことを誘われるとは思ってもみなかったので、正直このままルーナに指導をつけてほしいところだったが、間を開けずに頷いた。
義勇兵たちによって随分と様変わりしたその場所は、本当に画期的だった。
ここは本当にパラディ島なのかと疑ってしまう。
あの頃の面影がどんどんなくなっていっていることに、僅かな戸惑いすら感じられる。
「ずっとあなたにお礼が言いたいと思ってた。」
「…え?」
フロックは目を見開いてルーナを見る。
ルーナは海を見つめたまま、寂しそうな笑みを浮かべている。
「あなたのおかげで、私は変われたの…そして、全てを捨て去る覚悟ができた。」
"大事なものを捨てることができなかったからだ"
感情任せに叫んだ、あのときの言葉だろうか…
フロックも再度遠くを見つめた。