Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第47章 魔神の犬と猫■
束の間の平和が訪れたかのように、ゆっくりと歳月は流れた。
それからのルーナは、以前の彼女とは別人のようになっていた。
まるで何かに目覚めたかのように…
それは恐らく以前の彼女を知っている者ならば誰もがそう思うはずで…
しかしそれが分かるのは主に、リヴァイ、ハンジ、バリス、そしてエレンたち合わせて10人しかいない。
新たに構成された調査兵団は、新たな兵服と新たな装備と新たな武器によって生まれ変わった。
マーレの技術を取り入れた対人型立体機動装置と、ひとりで何本も取り付ける事ができ威力も増した雷槍や鉄砲の数々。
「ルーナさんやっぱすげぇな…」
「ああ、さすが歴然の調査兵!あのエルヴィン団長の右腕だったらしいしな」
「でもルーナさんはウォールマリア奪還作戦には参加していなかったと聞いたけど?」
「だが見ろよ!何もかもが圧倒的だ」
「まるでリヴァイ兵長の分身みたいだな…」
「最強夫婦かよ…いや、悪魔の夫婦…」
口々にそう言う新たな調査兵の前には、立体機動や雷槍、射撃の訓練指導をしているルーナがいる。
空中を飛び回るルーナの俊敏さは、リヴァイのそれともうほぼ互角だった。
それはもちろん彼女自身の努力の賜物で、新たな覚悟を決めたあの日から、毎日凄まじい訓練を自分に課していたからだった。
何キロもの重りを脚や腕につけて飛び回ったり、それを着けたまま片腕だけで木や壁を登ったり、筋トレのメニューを毎朝毎晩こなしていた。
空中での高速回転やブレードの逆手攻撃など、リヴァイに教わりながら会得したそれは数年かけてもう完全に自分のものになっている。
新兵として迎えた兵士たちに対しての訓練も容赦がなく、その凄まじい迫力と気迫には誰もが圧倒されていた。
並外れた強さのルーナに対して誰もが感じた。
きっと彼女には彼女しか知らない残酷な過去を幾度となく乗り越え、強靭な精神と覚悟で自らに鞭打ってきたのだろうと。
そう思えるくらいにとにかく何もかもが圧倒させられるものだった。
「あなたたち、雑談の許可はしてないよ。準備ができているのなら早くしなさい!」
「「はっ、はいっ!」」
ついルーナの動きに見とれて呆然としてしまっていた新兵たちは、一気に青ざめて各々訓練に散っていった。