Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第47章 魔神の犬と猫■
「うっへぇぇ〜!これホントに全部塩水なのぉ?!あ、何かいる!」
「おいハンジ、毒かもしれねぇから触るんじゃねぇ」
これが…海かぁ…
みんなにも見せたかった…
エルヴィン…あなたにも…
ルーナの目の前には、無限かのように広がる広大な塩水が風でたなびいていた。
「ルーナも来てよぉ!何かいるんだよ見てこれ!」
ハンジの方へと行こうとするルーナの腕をリヴァイが掴んだ。
「おい気をつけろよ。この水に何が潜んでいるのかわからねぇ」
「はは…分かってるよ。私もあなたと同じで潔癖症だし」
はにかむように笑うとリヴァイは眉間にシワを寄せたまま腕を離した。
ブーツのつま先に押し寄せてくる水の中に入る気には到底なれない。
美しいとは思う。とても……
澄みきった透明の水の中に見える砂は光に揺れて、宝石のようにキラキラと光っている。
あまりにも眩しくて目を細める。
ハンジが目を輝かせて持っている物体に視線を流すと、ますます目が細まった。
「ちょっとハンジ…それは…」
黒い物体…グロテスクなそれは全く動かない。
生き物ではないということだろうか?
いずれにせよ恐ろしくて後退りする。
「ねぇルーナ、これ持ち帰って実験してみてもいいかなぁ?」
「や…やめた方がいいんじゃない。リヴァイの言うように本当に毒があるかもしれないし…早くそれを戻しなよ…」
「えぇ〜!でも触ってみてよこれ!不思議な感触なんだ!」
「やああー!!近づけないで!!」
ハンジとルーナの追いかけっこが始まった。
「おいハンジ!!てめぇふざけるなよ!!」
そう言いつつもリヴァイも近づけないでいる。
その様子を他所に、エレンの声が静かに響いた。
「壁の向こうには海があって、海の向こうには自由がある…ずっとそう信じてた。
でも、違った…
海の向こうにいるのは…敵だ…
なにもかも、親父の記憶で見たものと同じなんだ…
なぁ…向こうにいる敵、ぜんぶ殺せば…俺たち、自由になれるのか?」